麻布大学

大学概要ABOUT

入学式における学長告辞

令和6年度入学式における学長告辞

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員一同、歓迎の意を表するとともに心からお祝いを申し上げます。ようやく新型コロナウイルス感染症も収束し、多くのご父母の皆さまのご出席の下で入学式が挙行できることを大変嬉しく思います。皆さんもようやく不自由な生活から解放され、新たな大学での生活に希望を抱いていることでしょう。大学生活は授業だけではなく、友人との交流や課外活動を通じた人間関係の構築が皆さんの生活に非常に大きな意味を持つことになります。皆さんのキャンパスでの諸活動が可能な限り活発にできるよう、我々も精一杯努力してまいります。どうぞご父母の皆さまも安心して本学のキャンパスに送り出してください。本日が皆さんにとって大学での新生活のスタート、人間的にも大きく成長する大切な時期の始まりです。

さて、入学式ではいつも話しておりますが、この麻布大学は、今から134年前の1890年に当時の東京市麻布区に開設された『東京獣医講習所』という小さな学校からスタートしました。創立者の輿倉東隆(よくらはるたか)先生は、留学を通してご自身が経験した欧米の進んだ獣医学教育を実践するために、私財を投じてこの学校を東京麻布に創設しました。この「東京獣医講習所」は4年後に「麻布獣医学校」と名前を変え、本格的な教育を始めましたが、戦中、戦後とさまざまな変遷を経て、最終的にここ相模原に落ち着き、1950年に新制大学として「麻布獣医科大学」を開学、現在まで2学部5学科と2つの大学院研究科を擁する、在校生総数約2,500人という自然科学系の大学に発展してまいりました。これが麻布大学名の由来です。創立134年となる今年度からこれらの5学科に加え、獣医学部の中に30年ぶりに新たに獣医保健看護学科を新設いたしました。獣医保健看護学科にご入学された皆さん、皆さんは映えある第1期生です。これから4年間の学生生活を充実させ、来年から入学してくる後輩のお手本になるよう頑張ってください。新しい学科であるが故に、先輩がいないことで不安も多々あるかと思いますが、教職員がしっかりとサポートしていきますのでどうぞご安心ください。

6学科すべて新入生の皆さんに知って欲しいことがあります。私立大学には、創設者が学校開設にあたって、どのような人材を育成したいかなどの理念や気概、願いをうたいあげた「建学の精神」というものがあります。正門を入ったところにある石碑に刻まれておりますが、本学の『建学の精神』は先ほどお話しした與倉先生の言葉にある『学理討究と誠実なる実践』です。私達教職員はこの想いに従い、時代や社会の変化に即した質の高い教育・研究を行い、社会から求められる人材及び社会で活躍できる人材の育成に取り組みます。

本学は、地球共生系~人と動物と環境の共生をめざして~を教育研究の理念とし、生態系と人間社会の接点で生じている諸問題に取り組む若き人材の育成に努めております。本学の教育や研究の対象は、動物や人の個体の健康に関するものに留まらず、動物やそれを取り囲む生態系と人間社会の接点に生じるいろいろな問題解決のために必要なもの全てです。本日入学された皆さんは、これからそれぞれの修業年限をこのキャンパスで過ごすことになりますが、皆さんは、大学で新しいことを学ぶことに大きな期待や希望を抱いていることでしょう。そんな皆さんに本学の取り組みをご紹介したいと思います。皆さんが本学を選んでいただくにあたって大学のHPやガイドブックをご覧になったと思いますが、その中に麻布出る杭という文字を見たと思います。今では学内外にかなり浸透してきておりますが、「1年生から取り組める本物の研究」、これは学科を問わず、教員から提供されたプログラムにどの学科からも参加することができるプログラムです。さらに大学院の修士課程において早期履修も可能となり、参加者も年々増えております。昨年はこのプログラムの中にある、海外研修支援に参加した学生さんが、とても貴重な体験だったと報告会の中で話していました。麻布大学も国際化に向けて一段ギアを上げて取り組んでいこうと思います。皆さんも是非チャレンジしてください。

また、本学では2022年12月にDEI推進センターを開設しました。DEIの意味はDiversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字からなる略称です。DEI推進センターでは、ライフイベント及びワーク・ライフ・バランスに配慮した研究環境の改善や、それに向けた学内の意識改革を図るとともに、女性研究者の裾野拡大、研究力向上等、総合的な支援事業を実施することで、本学で働き学ぶ全ての人がその能力を十分に発揮できる環境の実現を目指しています。

本学の特徴は、学生と教員の距離も近く、卒業生との交流も盛んで、多くの同窓の方が在学生の生活や就職支援にご協力くださっており皆さんが同窓の仲間に加わったことを喜んでおります。教職員や同窓生は皆さんの学びと暮らしを支援してくれることでしょう。何か困り事がありましたら、その声を私たちに届けてくだい。

本日、麻布大学は、大きな喜びを持って皆さんをお迎えしましたが、私たち教職員は、皆さんが卒業されるときに、『麻布大学で本当に良かった』と満足して社会に巣立っていくことを心から願っています。麻布大学での学生生活が、健康で楽しく、実り多きものとなるよう心から祈念して、入学式の式辞といたします。

令和6年4月6日
麻布大学長
川上 泰