麻布大学

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平成26年度

平成26年度 - 卒業式における学長式辞

本日ここに、平成26年度麻布大学学位授与式を挙行するにあたり、関係各位をはじめ多数のご来賓の皆様方のご臨席を賜り、また、ご家族の皆様方のご列席をいただき、厚く御礼申し上げます。
さて、588名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。今まさに大学生活を終えんとする感慨と、新たな生活への始まりの不安と決意で、心の高ぶりを禁じえないことと思います。私事ではありますが、皆さんは私が本学学長に就任して初めて送り出す卒業生であります。私自身も何か特別な深い思いを持って、本日の喜ばしい日を迎えておりますことをお伝えします。

皆さんは、4年間あるいは6年間、あるいはそれ以上の年月を通して、人生で最も多感な青春の時期、言い換えれば、草木が萌えいずる春の時期を、我が麻布大学で過ごされ、その修学の結果、本日の栄えある卒業の時を迎えられたのであります。

振り返ってみれば、朝夕になじんだ丹沢山系の風景に包まれ、その懐にある相模原のキャンパスで春夏秋冬と過ごす中で築いた友、そして恩師と過ごした日々がありました。それらの別れを経て、本日、それぞれの道へと旅だっていくのであります。私ども麻布大学の教職員一同、皆さんがこれから大きく羽ばたくための基礎となる学術の研鑽や技術の習得に、指導を惜しまず、手を抜かず、鍛えてきたところです。使い古された言葉ではありますが、社会への一歩は決して安穏な途ではありません。人生は何ごとも自分の思うようには行きません。これから皆さんの向かう社会では本学の建学の精神の意味する『実践を重んじる誠実さ』を胸に麻布大学の卒業生として奮闘努力され、それぞれの道を歩んで欲しいと思っているところです。社会で頑張り、経験することはさらに人を成長させます。つまり、人は、社会の中で、与えられた責任、あるいは今、自分が置かれている立場に目をそらさず、しっかりと受け止め、それに応えることで「自信や勇気」を身に付け、人として磨かれて行くものです。努力は自分を磨くものだと、努力を惜しまぬ人間であれと願っています。

さて、本日ここに卒業を迎える皆さんの多くは、あの2011年3月の忌まわしい東日本大震災により日本が深い悲しみと不安に包まれた年の4月に入学されたか、もしくは在学2年目が終わる春を迎えた学生だったと思います。あの大震災は今を生きる我々日本人にとっては大変大きな出来事でした。とりわけ入学式を楽しみに待っていた皆さんは、本来ならば『春・さくらの季節』、希望に満ちあふれ、ご家族の祝福の中、晴れやかな入学式を迎えられる予定が、その年は『入学者受け入れ式』という簡素な形に変えざるを得ない重苦しい、そして不安な出発式でした。新しく学生生活を始める学生さんにとっても、送り出す保護者にとっても大変な思いであったと思われます。

しかし、反面、この経験を通して、皆さんは大事な事を『学ぶ』機会も多々あったのではないでしょうか。この大震災は今まで平和に暮らしてきた日本人があらためて、『己の生と向き合うきっかけ』となった出来事のひとつともいえます。若い世代の皆さんにも命あるものが自然の大きな力の前ではいかに無力であったかということを身をもって実感したのではないでしょうか。しかし、そこから立ち上がろうとする強さも人と人のつながり、絆の中から生まれるという尊い実感を得たのも事実です。このような大きな経験、あるいは学びは、必ずやこれからの皆さんの『生きる力の土台』となると明言しておきます。

ところで、皆さんが麻布大学で過ごした年月は教員との師弟関係のみならず、皆さんの前後にいる大勢の友とはお互いに支えあい切磋琢磨しながら、赤い血潮を燃やして大きな絆を作っている筈であります。学閥は血よりも濃いと言います。これが皆さんの目に見えない大きな財産であります。今後の社会に於ける大きな難関に遭遇したとき頼りになるのはこの絆であります。このことを、古い事例になりますが、昭和33年度麻布獣医科大学卒業生の記念アルバムの編集後記に書いてある言葉を紹介し、皆さんに贈ります。『運命によって一堂に介した我が友よ。たとえ四年の瀬の束の間であったけれど、我らが友情の絆は永久に結ばれる。そして幾年月、嬉しきこと、悲しきことの多い人生の旅路において互いの心の琴線に触れ、響くこだまを追って行こう』

最後になりましたが、ご父母の皆様、お子様のご卒業まことにおめでとうございます。心からお祝い申し上げます。思い出は尽きませんが、在学中は、何かと本学へのご理解とご協力を賜りまして、誠に有り難うございました。今後一層のお子様のご成長とご活躍をお祈り申し上げております。
では、卒業生の皆さん、夢と希望を胸に、進むべき大地を目指して大きく羽ばたいていって下さい。皆さんの前途に対し、心からの祝福を送り、学長からの式辞といたします。

平成27年3月15日 本学 麻布獣医学園アリーナにて