学校法人 麻布獣医学園

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平成29年度 麻布大学 入学式 理事長 祝辞

 平成29年度 麻布大学入学式が挙行される、この良き日にあたり、麻布獣医学園理事長としてお祝いを申し上げます。

 新入生の皆様、ご入学、おめでとうございます。また、保護者の皆様、ならびにご家族の皆様にもお祝いを申し上げます。麻布獣医学園のすべての関係者とともに皆様を、この伝統ある麻布大学にお迎えすることを重ねて心からお慶び申し上げます。

 入学生の皆様は、これからこのキャンパスで様々なことを学び、また、新しい友人や教職員と出会い、さらに、勉学やクラブ活動等に励む日々を送ることになるわけです。そして、この大学には様々な教育・研究の施設や機器等、皆様の学びと成長のための環境が整備されております。また、ここには優れた科学者でもある教員が揃っております。入学者の皆様には、自ら学びの心に火をともしていただきたいと存じます。そして、皆様の夢と希望に向かって、さらに皆様が社会で大いに活躍できるように、私たち麻布獣医学園は、全力で皆様をサポートしてまいります。

 さて皆様、例年多くの人々が初詣に参拝する明治神宮の鎮守の杜、JR原宿駅のすぐ脇に位置する決して大きくない約70 haの森林、これが人造であることをご存知でしょうか。かつてこの土地は、江戸時代の大名屋敷の跡地で、今から一世紀程前にはわずかなマツやスギの木があるだけの荒れ地でありました。ここに100年先を見越して、明治神宮の鎮守の杜をつくることを目指し、大正時代の科学者が綿密に生物学の知見を集積し、造成した人工森林であります。植生が遷移する現象とその仕組みを理解した上で、最終的にシイやカシ等の常緑広葉樹から構成されるように、人為的に、綿密に、計画的に植林し、そして、人の手をかけないという管理法を定め、それを実践し、現在も継続しているものであります。関東平野における植生遷移の極相、すなわち、その土地を占有する植物の遷移の最終段階、それ以上に植生が遷移しなくなった森林は、シイやカシ等の常緑広葉樹の森林であります。このような永遠の杜を目標に設定したわけです。しかし、荒れ地にいきなり極相林を構成するシイやカシの苗を植えても育ちません。そこで、まず、荒れ地でも育つマツ等の針葉樹を多く植え、そして、ケヤキやコナラ等の落葉広葉樹をその間に、さらに、シイやカシ等の常緑広葉樹を計画的に、意図的に植林したわけであります。このような植林によって、その落ち葉や倒木によって、土が徐々に肥えていきます。そして、長い年月をかけ、徐々に森林が常緑広葉樹林へと移り変わっていき、それだけではなく、この森が常緑広葉樹林だけの単調な景色にならないわけです。さらに、その管理法として、人の手をいれないという原則を守り、参道の落ち葉等は集めて捨てずに、その森林の床に戻すことを実践します。そして、最近の調査では、この人造の杜は、シイやカシ等の常緑広葉樹が樹木の三分の二以上を占め、造成からおよそ一世紀の歳月をかけ、造成当初の計画よりもやや早く、目指した永遠の杜に近づいているようです。また、この杜には、タヌキ、カワセミ、オシドリ等、2840種もの多くの生物種が確認され、その生態系の頂点にはオオワシが位置しております。また、貴重な在来種で絶滅危惧種のメダカや絶滅したと思われていたチョウの生息も確認され、都会の中の生きた種の保存庫としても機能し、豊かな生命が宿っております。まさしく大都会の東京に共生する杜であります。

 麻布大学の教育・研究の理念は、「地球共生系」、「人と動物と環境の共生をめざして」であります。この理念は、生命科学を基礎として、人類の福祉、すなわち人類の幸福や健康のために、生命科学を応用する、ということであります。様々な生命現象を理解し、認識し、そして、その知識や現象、あるいはその生命現象を制御するような技術を組み合わせ、これらを統合させる。そして、「人と動物、あるいは人と環境」との間に存在する様々な問題を解決しようとするものであります。麻布大学は、決して大きな大学ではありませんが、小さくても豊かな生命を育んでいる明治神宮の鎮守の杜のごとく、多くの優秀な人材を育み、さらに、生命科学を基本とした教育・研究を展開し、人類の福祉のために大いに貢献する存在であるべく、全力でチャレンジしております。そして春爛漫の本日、皆様をその一員にお迎えしたわけであります。

 結びといたしまして、ここに、ご参列いただいた、すべての皆様に、心より感謝申し上げ、そして、皆様のご健勝とご多幸を祈念致しまして、私の祝辞とさせていただきます。

平成29年4月2日

麻布獣医学園 理事長 柏崎 直巳