○麻布大学遺伝子組換え実験安全管理規則

昭和62年6月17日

規則

(目的)

第1条 この規則は、麻布大学(以下「本学」という。)における遺伝子組換え実験(以下「組換え実験」という。)を計画し実施する際に遵守すべき安全確保に関する基準を示し、もって組換え実験の安全かつ適切な実施を図ることを目的とする。

2 本学における組換え実験に係る安全の確保に関しては、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年6月18日法律第97号)(以下「法」という。)、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則(平成15年11月21日財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省令第1号」(以下「施行規則」という。)及び「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令(平成16年1月29日文部科学省・環境省令第1号)(以下「二種省令」という。)に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。

(定義)

第2条 この規則において使用する用語は、それぞれ法、施行規則及び二種省令(以下「法律等」という。)において使用する用語の例によるほか、次の各号に定めるところによる。

(1) 遺伝子組換え実験 二種省令第2条第1号の規定による遺伝子組換え実験をいう。

(2) 機関実験 遺伝子組換え実験のうち、二種省令第5条により法第12条の拡散防止措置が定められているものをいう。

(3) 大臣確認実験 遺伝子組換え実験のうち、二種省令別表第1に掲げる遺伝子組換え生物等を使用等する実験で、法第13条の規定により当該使用等に際し、拡散防止措置について文部科学大臣の確認を要するものをいう。

(4) 教育目的遺伝子組換え実験 遺伝子組換え実験のうち、本学シラバス上に明記された授業科目(卒業論文を除く。)において実施するもの(研究室単位内で行う遺伝子組換え実験に係る個人的な指導・トレーニングは含まない。)、及び中高生及び教員等の学外者を対象とした、高大一貫事業、高大連携事業に関わる実習等において実施するものをいう。

(学長の任務)

第3条 学長は、組換え実験に係る安全確保に関して総括管理する。

2 学長は、第5条に規定する遺伝子組換え実験安全委員会(以下「安全委員会」という。)の委員及び第6条に規定する遺伝子組換え実験安全主任者(以下「安全主任者」という。)を任命しなければならない。

3 学長は、法律等に定められた組換え実験の安全確保に関する必要な措置を講じなければならない。

(学長任務の委任)

第4条 学長は、組換え実験の安全確保に関する任務の一部を安全主任者に委任することができる。

(安全委員会)

第5条 本学において実施される組換え実験の安全確保に係る必要な事項について調査・審議し、学長の下、この規則に規定された事項を処理するため、安全委員会を置く。

2 安全委員会は、学長の諮問に応じ、次の各号に掲げる事項について調査・審議し、これらの事項に関して学長に対し、助言又は勧告するものとする。

(1) 安全管理規則及びその他重要な運用基準に関すること。

(2) 組換え実験の計画の法律等及びこの規則に対する適合性に関すること。

(3) 組換え実験の実施を目的として使用する実験室又は実験区域等(以下「実験施設」という。)の法律等及びこの規則に対する適合性に関すること。

(4) 教育訓練及び健康管理に関すること。

(5) 非常事態の対策に関すること。

(6) その他組換え実験の安全確保に関すること。

3 安全委員会は、必要に応じ安全主任者及び第7条で定める実験責任者に報告を求めることができる。

4 安全委員会に関する規則は、別に定める。

(安全主任者)

第6条 安全主任者は、学長を補佐し、組換え実験の安全確保に係る責任に関し、法律等及びこの規則に従って、次に掲げる職務を行うものとする。

(1) 組換え実験の安全確保に係る、安全委員会からの助言又は勧告があったときは、速やかに対応しなければならない。

(2) 組換え実験の安全確保に関して、これを実施する者(以下「実験従事者」という。)に対して指導及び助言を行うことができる。

(実験責任者)

第7条 組換え実験を実施しようとする者は、組換え実験の安全かつ適切な実施を確保するため、組換え実験の計画ごとに第8条で定める実験従事者の中から実験責任者を定め、学長に申請し、その承認を受けなければならない。

2 実験責任者は、法律等及びこの規則を熟知するとともに、法律等で規定される遺伝子組換え生物等の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等及び生物災害の発生を防止するための知識及び技術、並びにこれらを含む関連の知識及び技術に習熟した者でなければならない。

3 実験責任者は、組換え実験の安全確保を期するため、次の各号に掲げる職務を行わなければならない。

(1) 実験従事者に対し、組換え実験における遺伝子組換え生物等の使用等について適切な指示を与えること。

(2) 実験従事者の健康管理に留意すること。

(3) 実験従事者に対し組換え実験に係る教育訓練を行うこと。

(4) 安全主任者との緊密な連絡の下に必要な協力をすること。

(5) 組換え実験の計画に係る記録を保存管理すること。

(6) 承認された組換え実験の計画の終了又は中止に際して、学長に報告すること。

(実験従事者)

第8条 実験従事者は、組換え実験を計画し、及び実施するに当たっては、安全確保について十分に自覚し、必要な配慮をするとともに、あらかじめ、微生物に係る標準的な実験方法並びに実験に特有な操作方法及び関連する技術に精通し、習熟していなければならない。

2 実験従事者は、組換え実験を安全かつ適正に実施するために第17条に掲げる教育訓練をあらかじめ受けなければならない。

(実験施設責任者)

第9条 実験施設ごとに定められた実験施設責任者は、実験施設の法律等に定める拡散防止措置の区分に対する適合性を維持し、かつ当該実験施設において実施される組換え実験に係る安全を確保するために、その管理及び保全に努めなければならない。

(組換え実験の計画)

第10条 実験責任者は、法律等の基準に従い、組換え実験について、法律等に規定されている執るべき拡散防止措置等を明示した実験計画書を作成の上、学長に申請し、その承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

(組換え実験の承認)

第11条 学長は、前条の申請があったときは、安全委員会の審査を経て、その実験計画を承認するか否かの決定を行うものとする。この場合において、学長は、大臣確認実験の計画については、あらかじめ、安全委員会の意見を聴いて、法第13条に従い文部科学大臣の確認を得なければならない。

(審査の基準)

第12条 安全委員会が組換え実験の計画を審査する場合の基準は、法律等及びこの規則に対する適合性である。

2 前項の規定に基づく審査を行ったときは、その結果を文書をもって学長に通知するものとする。

(組換え実験の安全な実施)

第13条 組換え実験は、本学において実験施設として安全委員会の意見を聴いて、学長が承認した実験施設で行われなければならない。

2 組換え実験は、その安全を確保するため、微生物学実験で一般に用いられる標準的な実験法を基本とし、法律等の規定する実験の安全評価に応じて、適切な拡散防止措置が執られるよう計画・実施されなければならない。

(改善勧告及び承認の取消)

第14条 学長及び安全主任者は、承認を受けた組換え実験の計画の安全性について疑いが生じた場合、又は組換え実験が法律等及びこの規則に違反して行われていると認める場合には、実験の一時停止又は中止を命ずるとともに、安全委員会に諮り、法律等及びこの規則に従い、実験方法等の改善勧告その他必要な措置を執らなければならない。

(保管及び運搬)

第15条 遺伝子組換え生物等及び廃棄物を保管及び運搬する場合は、実験責任者又はその指示を受けた者は、学長又は安全主任者の指示に従い、法律等の規定する拡散防止措置を執りつつ、安全に実施しなければならない。

(表示)

第16条 承認された実験施設は、法律等の規定する拡散防止措置の機能を有する施設である旨を明示しなければならない。

2 承認された実験施設において、組換え実験及び組換え実験に係る作業が進行中の場合には法律等の規定に従って適切な表示を掲げなければならない。

(教育訓練)

第17条 実験責任者は、組換え実験の開始前に実験従事者に対し、法律等及びこの規則を熟知させるとともに、次の各号に掲げる教育訓練を行わなければならない。

(1) 危険度に応じた微生物安全取扱い技術

(2) 物理的封じ込めに関する知識及び技術

(3) 生物学的封じ込めに関する知識及び技術

(4) 実施しようとする組換え実験の危険度に関する知識

(5) 事故発生の場合の措置に関する知識(大量培養実験においては、特に配慮を払うこと)

(6) その他組換え実験の安全確保に関する必要な事項

2 前項の規定にかかわらず、実施項目に関し十分な知識及び技術を有していると認められる者に対しては、教育訓練の一部を省略することができる。

3 前項の教育訓練に関して、安全主任者は、実験責任者及び実験従事者に対して指導及び助言することができる。

(健康管理)

第18条 学長は、実験従事者に対し、健康診断及びその他健康を確保するために、次に掲げる措置をとらなければならない。

(1) 実験の開始前及び開始後1年を越えない期間ごとに健康診断を行うこと。ただし、当該健康診断は、本学における一般健康診断をもって代えることができる。

(2) 実験従事者が、人に対する病原微生物を取り扱う場合には、実験開始前に感染の予防治療等の方策について検討し、必要に応じて実験責任者に抗生物質、ワクチン、血清等を準備させ、実験開始後6月を越えない期間ごとに特別定期健康診断を行うよう指示すること。

(3) 実験施設内感染が疑われる場合に、直ちに健康診断を行い、適切な措置を講ずること。

(4) 実験従事者が次に掲げる事項のいずれかに該当し被害を受けた場合に、直ちに事実の調査を行うとともに、必要な措置を講ずること。

 遺伝子組換え生物等を誤って飲み込み、又は吸い込んだとき。

 遺伝子組換え生物等により皮膚が汚染されたとき。

 遺伝子組換え生物等により実験施設が著しく汚染された場合に、その場に居合わせたとき。

 健康に変調を来したとき。

2 実験従事者は、絶えず自己の健康について注意しなければならない。

(危険時の措置)

第19条 実験責任者及び実験従事者は、異常事態発生の通報を受けた場合及び異常事態を発見した場合は、直ちに安全主任者に報告するとともに、実験場所の使用禁止又は立入禁止の措置を講じ、消毒その他安全の確保のために必要な応急の措置をとり、安全主任者の指示を受けなければならない。

第20条 安全主任者は、前条の報告を受けたときは、直ちに事故の内容等を確認の上、学長に報告するとともに実験責任者に対し必要な指示をしなければならない。

2 異常事態の結果、障害者又は障害発生のおそれのある者が生じた場合は、安全主任者は救急措置をとるとともに医師の診察を受けさせなければならない。

第21条 学長は、前条の報告を受けたときは、必要に応じ安全委員会の招集を命じ、事故の事後措置等について諮問するものとする。

(記録保存)

第22条 安全主任者は、次の各号に掲げる事項を確実に記録し、保存しなければならない。

(1) 実験計画書その他実験計画に関する記録

(2) 実験従事者名簿

(3) 健康診断に関する記録

(4) 教育訓練に関する記録

(5) 実験終了・中止報告書

(6) 実験施設承認等に関する記録

(7) 異常事態の経過及び措置に関する記録

(教育目的組換え実験)

第23条 教育目的の組換え実験は、法律等に規定される拡散防止措置がP1レベルの実験とし、法律等及びこの規則において示される安全確保に係る事柄について十分な知識と経験を有する者が実験指導者となり、当該実験指導者が次の各号に掲げる職務を果たす場合には、実験を行うことができる。

(1) 実験の実施について学長の承認を得ること。

(2) 実験指導者の指導の下に当該組換え実験を実施する学生、生徒等(以下「実験取扱者」という。)に必要な教育訓練を行い、実験全体を管理及び監督すること。

(3) 実験取扱者の名簿、実験を行う実験施設、実験日時及び実験に用いる遺伝子組換え生物等の廃棄方法を記載した記録を作成し、確実に保存すること。

(4) 教育目的組換え実験に用いることができる遺伝子組換え生物等であることを実験実施前に確認すること。

2 学長及び安全主任者は、教育目的組換え実験を行う実験指導者に対して、実験の安全確保に関する助言と指導をすることができる。

(守秘義務)

第24条 この規則の運用に携わる者は、実験計画の内容その他実験計画に関する事項について秘密を守らなければならない。

(事務)

第25条 学長の総括に係る事務、安全委員会に係る事務並びに安全主任者の掌理に係る事務は、教務部研究推進課が行う。

(実施細則)

第26条 この規則の実施に関し、必要な事項は、安全委員会の意見を聴いて、学長が定める。

(規則の改廃)

第27条 この規則の改廃は、安全委員会、各学部教授会及び教育研究会議の意見を聴いて学長が行う。

この規則は、昭和62年6月17日から施行する。

この規則は、平成3年10月23日に改正し、同日から施行する。

この規則は、平成18年7月19日に改正し、同日から施行する。

この規則は、平成27年3月17日に改正し、平成27年4月1日から施行する。

この規則は、平成31年1月24日に改正し、平成31年4月1日から施行する。

この規則は、令和3年5月27日に改正し、令和3年7月1日から施行する。

様式 略

麻布大学遺伝子組換え実験安全管理規則

昭和62年6月17日 規則

(令和3年7月1日施行)