○麻布大学における研究データの保存等に関するガイドライン

平成29年3月28日

ガイドライン

1.目的

本ガイドラインは、『麻布大学における研究活動上の不正行為の防止及び対応に関する規程(以下「規程」という。)』第40条(細則)に基づき、本学の研究者等が研究活動に伴い作成した研究データの保存、保存期間、異動又は退職時の取扱い及び開示等について必要な事項を定め、適正な研究活動を推進することを目的とする。

2.研究データの保存等に関する基本的な考え方

(1) 公的な資金によって実施された研究により生み出された成果やその基となるデータ等は、公的資産としての性格も有することから、それらを適切に管理・保存し、必要に応じて開示することは、本学で研究活動を行う研究者等に課せられた責務である。

(2) 本学の研究者等が論文等の形で発表した成果に対し、後日研究不正の疑念を持たれるようなことが生じた場合には、研究者等自らがその疑念を晴らすことができるよう、研究に関わる資料等を適切に保存することは、共同研究者、資金配分機関、本学及び社会に対する責任である。

3.定義

(1) この指針において「研究データ」とは、研究活動に伴い発生し、又は使用する以下に掲げるもののうち、外部に発表した研究成果に関するものであって、研究者等が当該研究活動の正当性を説明するために必要となるものをいう。

① 文書(実験ノート等を含む)、数値データ、画像等の「資料」

② 実験試料、標本等の「試料」、模型・装置

(2) このガイドラインにおいて「研究者等」とは、規程第2条第2号に定める研究者等をいう。

4.研究データの保存

(1) 本学における実験・観察をはじめとする研究活動においては、その過程を実験ノート等の形で記録に残さなければならない。実験ノート等には、実験等の操作のログ(日誌的記録)、データ取得の条件等、事後の利用・検証が可能となるよう十分な情報を記載し、かつ、事後の改変を許さない形で作成しなければならない。

(2) 実験ノート等は、研究活動の一次情報記録として適切に保存しなければならない。

(3) 論文や報告等、研究成果の基となった研究データは、事後の利用・検証に堪えるよう適正な形で保存しなければならない。

なお、保存に際しては、検索・参照が可能となるよう留意しなければならない。

(4) 研究データは、それらを生み出した研究者自身が責任をもって保存・管理しなければならない。なお、転出や退職した後も本ガイドラインで定める期間は適切に管理しなければならない。

5.研究データの保存期間

(1) 研究データのうち、「3.定義(1)①」に該当する「資料」の保存期間は、原則として、当該論文等の発表後10年間とする。電子化データについては、データの整理・管理と適切なバックアップの作成により再利用可能な形で保存しなければならない。なお、紙媒体の資料等についても、少なくとも10年間の保存が望ましいが、保管スペースの制約など止むを得ない事情がある場合には、合理的な説明がつく範囲で廃棄することも可能とする。

(2) 研究データのうち、「3.定義(1)②」に該当する「試料」の保存期間は、原則として、当該論文等の発表後5年間とする。ただし、保存・保管が本質的に困難なもの(例:不安定物質、実験自体で消費されてしまう試料)や、保存に多大なコストがかかるもの(例:生物系試料)についてはこの限りではない。

(3) 保存する研究データの中に、法令等により保存期間が規定されるものがある場合には、その法令等の定める期間に従うものとする。

(4) 資金配分機関との取決め等がある場合、共同研究により得られたデータ又は共同研究等外部から研究データを受領する場合において契約等により取決めがある場合はそれに従う。

(5) 論文等研究成果の発表の根拠とはならなかったデータや、使用する予定のないデータ等については、研究者及び倫理責任者が必要に応じ、保存期間を判断するものとする。

6.異動又は退職時の取扱い

(1) 研究室内の研究者等が異動又は退職により転出した場合、研究室担当者は、当該研究者の研究活動に関わる研究データのうち保存すべきものについては、バックアップを保管する、又は所在を確認し追跡可能としておく、などの措置を講じなければならない。

(2) 研究室担当者の転出や移動に際して、当該研究倫理教育責任者は、これに準じた措置を講じなければならない。

7.開示等

研究者等は、規程第17条及び第20条が定める調査委員会から研究データの開示を求められた場合には、研究活動の適正性について科学的根拠をもって説明するとともに、原則として、研究データ等を開示しなければならない。なお、異動や退職後もその責を負うものとする。

8.その他

(1) 個人データ等、その扱いに法的規制があるもの、倫理上の配慮を必要とするものについては、それらの規制、契約及びガイドライン等に従わなければならない。

(2) 本ガイドラインに定める保存期間の終了以前に、合理的な理由なく故意に廃棄した場合等は、不正行為とみなされる場合がある。

(3) 具体的な保存方法については、研究データの形質、形状等を踏まえ、各部局(学部、研究科、附属施設等)において定めることができる。

(4) 倫理責任者及び研究倫理教育責任者は、研究者等に対し、研究倫理教育の一環として本ガイドライン等に基づく適切な研究データ等の保存・管理等について、教育、指導に努めなければならない。

9.改廃

本ガイドラインの改廃は、研究倫理委員会の意見を聴いて学長が行う。

このガイドラインは、平成29年4月1日から施行する。

このガイドラインは、令和4年7月5日に改正し、同日から施行する。

麻布大学における研究データの保存等に関するガイドライン

平成29年3月28日 ガイドライン

(令和4年7月5日施行)

体系情報
第2編 学/第8章 その他大学関係
沿革情報
平成29年3月28日 ガイドライン
令和4年7月5日 ガイドライン