○麻布大学安全保障輸出管理規程

令和2年2月3日

規程

(目的)

第1条 この規程は、輸出者等遵守基準を定める省令(平成21年経済産業省令第60号)に基づき、麻布大学(以下「本学」という。)において、学術研究の健全な発展に配慮しつつ、安全保障輸出管理(以下「輸出管理」という。)を適切に実施するために必要な事項を定め、もって国際的な平和及び安全の維持に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 外為法等 外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)及びこの法律に基づく政令、省令、通達等をいう。

(2) 技術の提供 次に掲げる行為をいう。

 外国(外為法第6条第1項第2号に定める地域をいう。以下同じ。)における技術(貨物の設計、製造又は使用に必要な特定の情報をいう。以下同じ。)の提供若しくは外国に向けて行う技術の提供又はこれらを目的とした国内における技術の提供を行うことをいう。

 非居住者(外為法第6条第1項第6号に定める者をいう。)への技術の提供又は非居住者へ再提供することが明らかな居住者(外為法第6条第1項第5号に定める者をいう。)への技術の提供をいう。

(3) 貨物の輸出 外国を仕向地として貨物(外為法第6条第1項第15号に定める動産をいう。以下同じ。)を送付すること(自ら手荷物として海外に持ち出す場合を含む。)又は外国を仕向地として送付されることが明らかな貨物を国内で送付することをいう。

(4) 取引 技術の提供又は貨物の輸出をいう。

(5) 相手先 技術の提供にあっては当該技術を利用する者を、貨物の輸出にあっては当該貨物の需要者及び仕向地をいう。

(6) 教職員等 本学に就労する全ての教職員(その他本学と雇用契約のある者を含む。)をいう。

(7) 規制技術等 外為法等により規制されている技術及び貨物をいう。

(8) リスト規制技術 規制技術等のうち、外国為替令(昭和55年政令第260号。以下「外為令」という。)別表の1の項から15の項までに該当する技術をいう。

(9) リスト規制貨物 規制技術等のうち、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号。以下「輸出令」という。)別表第1の1の項から15の項までに該当する貨物をいう。

(10) キャッチオール規制 外為令別表の16の項に定める技術及び輸出令別表第1の16の項に定める貨物が、大量破壊兵器又は通常兵器の開発等に用いられるおそれのある場合には、経済産業大臣に許可申請を行うことをいう。

(11) 事前確認 提供しようとする技術又は輸出しようとする貨物の懸念情報等を踏まえ取引審査の要否について確認することをいう。

(12) 該非判定 提供しようとする技術又は輸出しようとする貨物が、リスト規制技術又はリスト規制貨物に該当するか否かを判定することをいう。

(13) 取引審査 リスト規制及びキャッチオール規制の観点から、該非判定の内容のほか、取引の相手先や当該相手先における用途の内容を踏まえ、本学として当該取引を行うか否かを判断することをいう。

(14) 大量破壊兵器等 核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置又はこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機をいう。

(15) 大量破壊兵器等の開発等 大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵をいう。

(16) 通常兵器 大量破壊兵器等以外の輸出令別表第1の1の項に該当する貨物をいう。

(17) 通常兵器の開発等 通常兵器の開発、製造又は使用をいう。

(適用範囲)

第3条 この規程は、本学において教職員等が教育、研究その他の活動として行う全ての取引に適用する。

(基本方針)

第4条 本学における輸出管理の基本方針は、次のとおりとする。

(1) 国際的な平和及び安全の維持を妨げるおそれのある取引は行わない。

(2) 外為法等を遵守し、経済産業大臣の許可を受けなければならない場合は、責任を持ち、当該許可を取得する。

(3) 輸出管理を確実に実施するため、輸出管理の責任者を定め、体制を適切に整備し、充実を図る。

(安全保障輸出管理最高責任者)

第5条 輸出管理関連業務を適正かつ円滑に実施するため、安全保障輸出管理最高責任者(以下「最高責任者」という。)を置き、学長をもって充てる。

2 最高責任者は、次に掲げる業務を行う。

(1) 外為法等又は本規程に違反する事実が発生した場合の再発防止策の構築

(2) 輸出管理における重要事項に関する最終的な決定

(3) 輸出管理に係る経済産業大臣への許可申請手続

(安全保障輸出管理統括責任者)

第6条 最高責任者の下に、安全保障輸出管理統括責任者(以下「統括責任者」という。)を置き、最高責任者が指名する者をもって充てる。

2 統括責任者は、最高責任者の指示の下、次に掲げる業務を行う。

(1) 輸出管理業務の統括

(2) 該非判定及び取引審査の最終的な承認

(3) 輸出管理の監督・監査に関する業務

(4) その他最高責任者が指示する業務

(安全保障輸出管理責任者)

第7条 統括責任者の下に、国際交流担当、研究担当、人事担当及び教務担当(以下「各担当」という。)ごとに安全保障輸出管理責任者(以下「管理責任者」という。)を置き、国際交流担当にあっては国際交流委員長、研究担当にあっては研究推進・支援本部長、人事担当及び教務担当にあっては両学部長をもって充てる。

2 各担当は、次に掲げる輸出管理に係る事項を担当する。

(1) 国際交流担当 外国人研究者の受入等に関する事項

(2) 研究担当 研究技術の提供、研究試料又は貨物の輸出、共同研究、受託研究等に関する事項

(3) 人事担当 教職員等の海外渡航等に関する事項

(4) 教務担当 留学生の受入、外国人研究生の受入等に関する事項

3 管理責任者は、次に掲げる業務を行う。

(1) 輸出管理手続業務の推進

(2) 当該担当における事前確認の判定

(3) 当該担当における一次取引審査の判定

(4) 監査に関する業務

(安全保障輸出管理担当者)

第8条 管理責任者の下に、安全保障輸出管理担当者(以下「管理担当者」という。)を置き、学校法人麻布獣医学園事務組織規程第4条又は第5条に定める各担当の関連部局における課長等又は課長相当職をもって充てる。

2 管理担当者は、次に掲げる業務を行う。

(1) 当該担当における輸出管理の周知徹底

(2) 当該担当における事前確認の判定

(3) 当該担当における一次取引審査の判定

(4) 事前確認及び一次取引審査の記録の保存

(5) 監査に関する業務

(安全保障輸出管理委員会)

第9条 最高責任者は、本学の輸出管理に関し、必要な事項を審議する組織として、安全保障輸出管理委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、輸出管理に関する次の事項を審議する。

(1) 本規程等の改廃案の作成に関する事項

(2) 該非判定、例外適用及び取引審査の審議に関する事項

(3) 教職員等に対する研修・啓発活動に関する事項

(4) 監査に関する事項

(5) その他輸出管理に関する重要事項

3 委員会は、次の各号に掲げる委員をもって組織する。

(1) 統括責任者

(2) 各担当管理責任者

(3) その他最高責任者が必要と認めた者

4 委員会に委員長及び副委員長を置き、委員長は第6条第1項に定める統括責任者をもって充て、副委員長は、委員の中から委員長が指名する者とする。

(1) 委員長は、委員会を招集し、その議長となる。

(2) 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故等あるときは、その職務を代理又は代行する。

(3) 最高責任者は、必要あると認めるときは、前項の規定にかかわらず、前項第1号から第3号までに掲げる委員以外の者を、議案に限って、委員として臨時に委員会に参加させることができる。

5 委員会は、委員の過半数の出席をもって成立し、議事は出席委員の過半数をもって決する。ただし、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

6 委員会は、取引審査を終えたときは、審査結果を最高責任者に報告しなければならない。

(事前確認)

第10条 教職員等は、取引を行う場合は、別に定める「事前確認シート」に基づき、規制技術等の該当の有無について事前確認を行い、取引審査の手続の要否について自己判定を行わなければならない。

2 教職員等は、前項の判定結果を管理担当者(研究担当)に報告し、当該判定結果について承認を得なければならない。

3 管理担当者(研究担当)は、教職員等から提出された「事前確認シート」を、第7条第2項に定める各担当の担当事項に基づき、各管理担当者に振り分けを行う。

4 該当する管理責任者及び管理担当者は、「事前確認シート」に基づき、第1項の取引審査の手続の要否の判定について承認を行い、当該教職員等にその結果を報告する。

5 前項による事前確認において、取引審査が必要と判断された場合又は取引審査を行うことが明らかな場合には、教職員等は第11条(該非判定)第12条(用途確認)及び第13条(需要者確認)の起票・確認を行い、第14条の取引審査の手続を行わなければならない。

6 第1項から第4項までの規定により、取引審査の手続が不要とされた場合は、教職員等は当該取引を行うことができる。

(該非判定)

第11条 教職員等は、取引審査の手続が必要とされた場合は、当該技術又は貨物がリスト規制技術又はリスト規制貨物に該当するかについて該非判定を行い、別に定める「該非判定票」を起票するものとする。

2 該非判定は、次に掲げるとおり行う。

(1) 本学で研究・開発した技術の提供又は貨物の輸出を行おうとする教職員等は、必要な技術資料を整備し、最新の外為法等に基づいてリスト規制技術又はリスト規制貨物に該当するかを該非判定する。

(2) 本学外から入手した技術の提供又は貨物の輸出を行おうとする教職員等は、入手先からの該非判定書等を入手し、前号同様、適切に該非判定を行う。ただし、前号の手続により該非判定できる場合には、入手先から該非判定書等の入手を省略することができる。

(用途確認)

第12条 教職員等は、取引審査の手続が必要とされた場合は、当該技術又は貨物の用途について、大量破壊兵器等又は通常兵器の開発等に用いられるおそれがないかを、別に定める「「用途」チェックシート」及び「明らかガイドラインシート」を用いて確認するものとする。

(需要者確認)

第13条 教職員等は、取引審査の手続が必要とされた場合は、当該技術又は貨物の需要者について、「外国ユーザーリスト」の掲載の有無や需要者が過去に大量破壊兵器等又は通常兵器の開発等を行っていたことが入手した資料等に記載・記録されていないかを、別に定める「「需要者」チェックシート」等を用いて確認するものとする。

(取引審査)

第14条 教職員等は、取引審査の手続が必要とされた場合は、第11条(該非判定)第12条(用途確認)及び第13条(需要者確認)の起票・確認に基づき作成した、別に定める「審査票」を、審査に必要なその他関係書類を添付して統括責任者に申請し、第2項及び第3項の規定による取引審査により、当該取引の承認を得なければならない。

2 教職員等から前項の規定による申請があった場合は、申請書類の確認後、当該管理責任者及び管理担当者において取引審査を行い、当該取引が適正な取引かどうかを判断する(一次取引審査)

3 前項の規定による判断後、当該申請書類及び前項の取引審査結果について、統括責任者は委員会に諮るなどして取引審査を行い、当該取引が適正な取引かどうかを判断する(二次取引審査)

4 第2項及び第3項の規定による取引審査により、当該取引が適正な取引であると判断した場合は、統括責任者は、その旨を教職員等に通知する。

(許可申請)

第15条 教職員等は、前条第1項における承認により外為法等に基づく経済産業大臣の許可を受けなければならない場合、外為法等の定めるところにより申請書を作成し、最高責任者に提出しなければならない。

2 最高責任者は、前項の規定による提出を受け、経済産業大臣へ輸出許可申請を行う。

3 教職員等は、外為法等に基づく許可が必要な取引については、経済産業大臣の許可を受けない限り、当該取引を行ってはならない。

(技術の提供管理)

第16条 教職員等は、技術の提供をする場合、第10条の事前確認及び第14条の取引審査の手続が行われたこと、並びに外為法等に基づく許可を受けなければならない技術の提供の場合は、経済産業大臣の許可を受けていることを確認しなければならない。ただし、第10条の事前確認により取引審査の手続が不要とされた場合には、第14条の取引審査の手続の確認は必要としない。

2 教職員等は、前項の規定による確認ができない場合は、当該技術の提供を行ってはならない。

(貨物の輸出管理)

第17条 教職員等は、貨物を輸出する場合、第10条の事前確認及び第14条の取引審査の手続が行われたこと、並びに貨物が出荷書類の記載内容と同一のものであることを確認し、また、外為法等に基づく許可を受けなければならない貨物の輸出の場合には、経済産業大臣の許可を受けていることを確認しなければならない。ただし、第10条の事前確認により取引審査の手続が不要とされた場合には、第14条の取引審査の手続の確認は必要としない。

2 教職員等は、前項の規定による確認ができない場合は、当該貨物の輸出を行ってはならない。

3 教職員等は、通関時に事故が発生した場合は、直ちに当該輸出手続を取り止め、該当する管理責任者及び管理担当者にその旨を報告する。管理責任者は、統括責任者と協議の上、適切な措置を講ずるものとする。

(文書管理又は記録媒体の保存)

第18条 教職員等は、統括責任者及び各担当管理責任者の指示の下、輸出管理に係る文書、図面又は電磁的記録を、技術が提供された日又は貨物が輸出された日から起算して、少なくとも7年間は保管しなければならない。ただし、関係資料又は記録媒体の管理にあっては、学校法人麻布獣医学園文書処理規程の定めるところによる。

(監査)

第19条 各担当管理責任者及び管理担当者は、統括責任者の指示の下、本学における輸出管理を本規程に基づき適切に実施するため、監査を実施することができる。

(教職員等に対する研修・啓発)

第20条 委員会は、外為法等及びこの規程の遵守について教職員等の理解を深めるとともに、その確実な実施を図るため、教職員等に対し、輸出管理に関する最新法令を遵守するために必要な研修及び啓発を計画的に行うものとする。

(報告)

第21条 教職員等は、外為法等又はこの規程に対する違反若しくは違反のおそれがあることを知った場合又は外国において規制技術等を紛失し、若しくは盗難に遭った場合は、速やかに該当する管理担当者を経て該当する管理責任者にその旨を報告しなければならない。

2 管理責任者は、前項の報告があった場合には、その内容を調査し、速やかに統括責任者及び最高責任者にその結果を報告し、最高責任者は、本学の関連部署に対応措置を指示する。

3 最高責任者は、第1項の報告において、違反の事実が判明した場合又は違反のおそれがある場合は、遅延なく関係行政機関に報告し、再発防止のために必要な措置を講ずる。

(懲戒)

第22条 教職員等が故意又は重大な過失により外為法等及びこの規程に違反した場合には、学校法人麻布獣医学園就業規則に基づく懲戒処分の対象とする。

(事務)

第23条 委員会に関する事務は、教務部研究推進課が行い、総務部人事課、教務部教務課及び教務部学生支援・国際交流課がこれに協力するものとする。なお、事前確認に関する事務は、各担当の関連部局において行う。

(雑則)

第24条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、委員会の意見を聴いて学長が定める。

(規程の改廃)

第25条 この規程の改廃は、委員会、各学部教授会及び教育研究会議の意見を聴いて学長が行う。

この規程は、令和2年2月3日に制定し、令和2年4月1日から施行する。

この規程は、令和3年5月27日に改正し、令和3年7月1日から施行する。

麻布大学安全保障輸出管理規程

令和2年2月3日 規程

(令和3年7月1日施行)