○麻布大学病原体等安全管理規則

平成19年6月20日

規則

(目的)

第1条 この規則は、麻布大学(以下「本学」という。)において取り扱う病原体等の安全管理及び取扱いについて定め、本学における病原体等に起因して発生する人及び動物への暴露、並びに「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下「感染症法」という。)に基づく事故の未然防止を図ることを目的とする。なお、「家畜伝染病予防法」(以下「家伝法」という。)に基づく家畜伝染性疾病の発生、まん延防止のための家伝法対象病原体の取扱いについても、本規則の対象とする。

(定義)

第2条 この規則における用語の定義は、次の各号に定めるところによる。

(1) 「病原体等」とは、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、プリオン及び微生物の産生する毒素で、人又は動物に危害を及ぼす要因となるものをいう。

(2) 「特定病原体等」とは、感染症法で定める特定一種病原体等、二種病原体等、三種病原体等及び四種病原体等をいう。

(3) 「バイオセーフティレベル(以下「BSL」という。)1、2、3及び4病原体等」とは、国立感染症研究所及び国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門が定める病原体等のBSLの分類に準じて別に定める病原体等をいう。

(4) 「実験責任者」とは、本学施設内において病原体等を取り扱う実験の遂行について、責任を負う者をいう。

(5) 「実験従事者」とは、本学施設内において病原体等を取り扱う実験を遂行する者をいう。

(6) 「実験責任者等」とは、本学施設内において病原体等を取り扱う実験責任者、実験従事者及び実験従事者が所属する麻布大学運営規程第24条で定める研究室担当(以下「研究室担当」という。)をいう。

(7) 「BSL1実験室」とは、BSL1病原体等を取り扱う実験室をいう。

(8) 「BSL2実験室」とは、BSL2病原体等を取り扱う実験室をいう。

(9) 「BSL3実験室」とはBSL3病原体等のうち、四種病原体等を取り扱う実験室をいう。

(10) 「実験室」とは、BSL1実験室、BSL2実験室又はBSL3実験室をいう。

(11) 「管理区域」とは、実験室及びその他病原体等の安全管理が必要な区域をいう。

(法令の遵守)

第3条 本学における病原体等の保管及び取扱いに係る安全確保は、この規則を遵守するとともに、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(平成16年法律第112号)に基づき定められた「国民の保護に関する基本指針」(平成17年3月)、「テロの未然防止に関する行動計画」(平成16年12月10日国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部決定)、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)、「家畜伝染病予防法」(平成17年法律第102号)(以下「法律等」という。)に定められた規定を遵守しなければならない。

(禁止事項)

第4条 本学施設内では、感染症法で定める一種病原体等、BSL3病原体等(四種病原体等を除く。)及びBSL4病原体等の管理及び取扱いを行ってはならない。

(学長の任務)

第5条 学長は、病原体等の保管及び取扱いに係る安全確保に関して総括管理する。

2 学長は、第10条に規定する病原体等安全管理委員会(以下「安全管理委員会」という。)を設置し、その委員の任命及び第7条に規定する病原体等取扱主任者(以下「取扱主任者」という。)を、感染症法に基づく取扱主任者の要件を備える者の中から、任命しなければならない。

3 学長は、法律等に定められた病原体等の保管及び取扱いに係る安全確保に関する必要な措置を講じなければならない。

(学長任務の委任)

第6条 学長は、病原体等の保管及び取扱いに係る安全確保に関する任務の一部を取扱主任者に委任することができる。

(取扱主任者)

第7条 取扱主任者は、学長を補佐し、病原体等の保管及び取扱いの安全確保に係る責任に関し、法律等及びこの規則に従って、次の各号に掲げる職務を行うものとする。

(1) この規則に定める事項の実施状況を監視し、病原体等の保管及び取扱いについて、実験責任者等に対し、指導及び助言を行うこと。

(2) 実験責任者等及び職員に対しての教育・訓練を行うこと。

(3) 安全管理委員会からの助言又は勧告があった場合は、直ちに対応すること。

(4) 管理区域を定期及び臨時に査察し、次に掲げる事項を確認すること。

 病原体等の保管及び取扱いに係る安全確保に関すること。

 教育訓練に関すること。

 健康診断に関すること。

 実験責任者等の名簿に関すること。

 二種病原体等の厚生労働大臣への許可の申請及び三種病原体等の厚生労働大臣への届出に関すること。

 二種及び三種病原体等の学内及び学外への移動報告に関すること。

 二種及び三種病原体等の学内での取扱い終了・中止に関する記録

 実験室としての使用申請等に関する記録

 非常事態の経過及び措置に関する記録

(5) この規則の運用面における改善事項に関すること。

(6) 第21条第1項各号に掲げる事故が発生した場合は、その原因の調査及び事後処置の確認を行うこと。

(7) 病原体等の取扱いの監視に関すること。

2 取扱主任者は、前項に規定する事項に関し、学長に意見を述べることができる。

(実験責任者)

第8条 実験責任者は、法律等及びこの規則に従って、次の各号に掲げる職務を行うものとする。

(1) 病原体等及び特定病原体等を取り扱う者は、病原体等の取扱いの安全かつ適切な実施を確保するため、第9条に定める実験従事者の中から実験責任者を定め、学長に申請し、その承認を受けること。

(2) この規則の定める病原体等以外の取扱いは、安全管理委員会に諮ること。

(3) 管理区域内で病原体等を取り扱う場合は、この規則に適合する方法によること。

(4) 実験従事者に対し、病原体等の使用等についての適切な指示、教育及び健康管理に留意すること。

(5) 取扱主任者との緊密な連絡の下に、必要な協力をすること。

(6) 二種及び三種病原体等の保管及び取扱いは、学校法人麻布獣医学園危機管理マニュアル(安全衛生管理編)に基づき、安全衛生管理チェックシート及び病原体等収受・払出し状況記録(様式第1号)に、取扱いごとに必ず記録し、年度末又は指示された期日までに学長に報告すること。

(7) 承認された病原体等及び特定病原体等の取扱いが終了又は中止する場合は、第13条第3項を準用し、事前に学長に報告すること。

2 実験責任者は、「麻布大学における人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理審査委員会規程」、「麻布大学放射線障害予防規程」、「麻布大学動物実験指針」、「麻布大学遺伝子組換え実験安全管理規則」等関連規則を遵守しなければならない。

(実験従事者)

第9条 実験従事者は、実験責任者の指示及び管理の下でなければ、病原体等を取り扱うことはできない。

2 病原体等を取り扱う場合は、安全確保について十分自覚し、必要な配慮をするとともに、事前に微生物に係る標準的な取扱方法、取扱いに特有な操作方法及び関連する技術に精通し、習熟していなければならない。

3 実験従事者は、第24条に規定する教育訓練を受講しなければならない。

(安全管理委員会)

第10条 安全管理委員会は、第1条の目的を達成するために、次の各号に掲げる事項を調査・審議し、これらの事項に関して学長に対し、助言又は勧告する。

(1) 病原体等の保管及び取扱いについて、法律等及びこの規則との適合性に関すること。

(2) 安全管理に関する理論的、技術的事項の調査及び研究に関すること。

(3) 病原体等のBSLの分類及び安全設備に関すること。

(4) 病原体等の保管及び取扱いに関すること。

(5) 非常事態の対策に関すること。

(6) 前各号に掲げるもののほか病原体等の安全管理に関すること。

(7) その他、この規則の運用に関すること。

2 安全管理委員会は、必要に応じ、取扱主任者及び第2条第1項第5号に定める実験責任者等に報告を求めることができる。

3 この規則に定めるもののほか、安全管理委員会に関する必要な事項は、別に定める。

(実験室の取扱手続き)

第11条 研究室担当は、担当している研究室又は管理している実習室をBSL2実験室又はBSL3実験室として使用する場合は、事前に所定の様式により、学長に申請し、承認を受けなければならない。研究室担当は、担当している研究室又は管理している実習室をBSL2実験室又はBSL3実験室として使用する場合は、事前に所定の様式により、学長に申請し、承認を受けなければならない。

2 研究室担当は、第1項のBSL2実験室又はBSL3実験室としての使用を終了する場合は、所定の様式により、学長に届出なければならない。

(実験室の維持管理)

第12条 実験責任者は、法律等の定める基準に従い、安全設備を常時整備し、点検しなければならない。

(病原体等の取扱手続)

第13条 実験責任者は、BSL2病原体等又はBSL3病原体等を新たに用いて実験しようとするとき又は新たに保管しようとするときは、予め所定の様式により学長に申請し、承認を受けなければならない。

2 病原体等の実験・保管を終了又は中止した場合は、所定の様式によりその旨を学長に届出なければならない。

3 特定病原体等を本学外の機関へ分与(譲渡)する場合は、所定の様式によりその旨を学長に届出しなければならない。

(取扱いの承認)

第14条 学長は、前条の申請があった場合は、安全管理委員会の審査を経て、その病原体等の受入れ、保管、取扱い、分与、滅菌及び譲渡を承認するか否かの決定を行わなければならない。

(審査の基準)

第15条 安全管理委員会が、病原体等の受入れ、保管、取扱い、分与、滅菌及び譲渡を審査する場合の基準は、法律等及びこの規則に対する適合性がなければならない。

2 前項の規定に基づく審査を行った場合は、その結果について文書をもって学長に通知しなければならない。

(保管場所等)

第16条 病原体等の保管場所は、当該病原体を取り扱う実験室と同等の安全基準を満たしていなければならない。

2 病原体等の保管容器は、密封容器とし、施錠できる保管庫で保管しなければならない。

3 特定病原体等の保管庫は、厚生労働大臣が指定する標識を標示しなければならない。

(移動の制限等)

第17条 病原体等を本学以外へ移動させる場合、又は本学以外から受け入れる場合は、万国郵便条約の通常郵便に関する施行規則(平成12年12月22日号外郵政省告示第823号)第413条に規定する容器及び包装を用いた方法によらなければならない。

(運搬の届出)

第18条 二種又は三種の病原体等を運搬する場合は、国家公安委員会が定める届出対象病原体等運搬届出書及び第11条第4項に定める病原体等使用実験終了・中止届出書(BSL2又はBSL3)により、事前に学長に届出し、承認を受けなければならない。

(実験室の標示)

第19条 管理区域の出入口には、取り扱う病原体等の分類、実験責任者又は研究室担当の氏名を記載した所定の標識を標示しなければならない。

(病原体等の処置)

第20条 病原体等(これらに汚染されたと思われる物を含む。次項において同じ。)は、法律等で定める滅菌の方法に従い、無害化する処置をしなければならない。

2 BSL1病原体等、BSL2病原体等又はBSL3病原体等は、実験室又は取扱施設内において法律等で定める滅菌の方法に従い、無害化する処置をしなければならない。

(事故)

第21条 次の各号に掲げる場合は、これを事故として取り扱うものとする。

(1) 外傷その他により、病原体等が実験責任者等の体内に入った可能性がある場合

(2) 実験室内の安全設備の機能に重大な欠陥が発見された場合

(3) 病原体等により、実験室内が広範に汚染された場合

(4) 実験責任者等の健康診断の結果、病原体等による異常が認められた場合

(5) 病原体等の盗難等が発生した場合

(6) 第30条第3項に規定する報告があった場合

2 前項第1号から第5号の事故を発見した者は、直ちに取扱主任者、実験責任者又は研究室担当に連絡をしなければならない。実験責任者又は研究室担当が事故を発見した場合は、直ちに取扱主任者に通報をしなければならない。

3 前項の通報を受けた取扱主任者は、速やかに事故の内容等を確認の上、学長に報告するとともに、速やかに実験責任者又は研究室担当に対し、所要の応急措置及び現場保存を指示しなければならない。

4 学長は、必要があると認めた場合は、安全管理委員会の招集を命じ、事故の事後措置等について諮問するとともに、汚染区域及び立入禁止区域を設定し、一定期間の使用禁止を講じなければならない。

5 学長は、特定病原体等の盗難等が発生した場合は、「特定病原体等に係る事故・災害時対応マニュアル(厚生労働省健康局結核感染症課 平成19年10月作成)」に従い、本学を管轄する警察署、消防署、保健所及び国の関係機関へ、速やかに報告しなければならない。

6 学長は、前項の措置を講じた場合は、事故の内容、汚染区域、立入禁止区域、事後措置の内容等を職員に周知させなければならない。

7 学長から諮問を受けた安全管理委員会は、取扱主任者と協働して、事故を終息させ、事故前の安全性と同等な状況になるように実験責任者等に指示しなければならない。また、実験責任者等に事故の再発防止措置を指示し、実施状況を確認しなければならない。

8 安全管理委員会委員長は、事後措置後の安全性を確認した場合は、直ちに学長に報告しなければならない。

9 学長は、前項の報告を受けた場合は、当該汚染区域及び立入禁止区域の使用禁止を解除し、職員にその旨を周知させなければならない。

(緊急時対策)

第22条 学長は、地震又は火災等による災害が発生し、病原体等の安全管理に関し、この規則の定めによることができないと認めた場合は、直ちに緊急対策本部を設置しなければならない。

2 実験責任者又は研究室担当は、前項の緊急対策本部が設置されるまでの間、緊急事態に即応した所要の措置を講ずるとともに、直ちに緊急事態の内容、範囲、講じた緊急時措置の内容等を取扱主任者に報告しなければならない。

3 地震又は火災等の災害による被害の防止対策及び大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)第2条第13号に規定する警戒宣言(以下「警戒宣言」という。)が発せられた場合において講じなければならない措置は、この規則に定めるもののほか、学校法人麻布獣医学園消防計画に定めるところによる。

4 各実験室において病原体等を取り扱う実験責任者等は、地震又は火災等の災害が発生した場合又は警戒宣言が発せられた場合は、直ちに汚染防止等の緊急時措置を講じなければならない。

(緊急対策本部)

第23条 緊急対策本部は、学長、安全管理委員会委員、事務局長及び学長の指名する職員で組織する。

2 本部長は、学長とする。

3 緊急対策本部は、次の各号を指揮又は処理する。

(1) 病原体等の逸出の防止対策

(2) 汚染防止、汚染された場所及びそのものの処置

(3) 被汚染者の処置

(4) 汚染区域の設定

(5) 汚染区域の安全性調査及び汚染区域の解除

(6) 広報活動

(7) 前各号に掲げるもののほか、緊急時措置に必要な事項

4 本部長は、病原体等に関しての安全性が確認され、緊急事態が解消した場合は、緊急対策本部を解散する。

(教育訓練)

第24条 学長は、病原体等の安全管理に必要な知識及び技術の向上を図り、安全管理には社会的責任を伴うことを周知させるため、実験責任者、実験従事者及び研究室担当を対象とした、病原体等の安全管理に必要な標準微生物学実験手技に関する教育訓練を毎年1回以上開催しなければならない。

2 学長は、前項の教育訓練の開催を取扱主任者に委任する。

(安全点検結果等の公開)

第25条 学長は、第7条第1項第4号第8条第1項第6号及び第21条第1項に規定する事項の関係資料を公開するものとする。

(定期健康診断等)

第26条 学長は、病原体等を取り扱う実験責任者等に対して、定期健康診断を実施しなければならない。ただし、当該健康診断は、本学における一般健康診断をもって代えることができる。

2 学長は、病原体等を取り扱う実験責任者等のうち、抗体陰性者に対しては、ワクチンの接種を勧告できるものとする。

(臨時の健康診断)

第27条 学長は、必要と認める場合には、実験責任者等に対して臨時の健康診断を受けさせることができる。

(健康診断の記録)

第28条 学長は、健康診断の結果、健康管理上必要と認められる事項について、実験責任者等ごとに記録を作成しなければならない。

2 前項の記録は、実験責任者等の病原体等の取扱い終了後10年間、これを保存しなければならない。

(健康診断後の措置)

第29条 学長は、健康診断の結果、実験責任者等に病原体等による感染が疑われるときは、直ちに安全確保のために必要な措置を講ずるものとする。

(病気等の届出等)

第30条 病原体等を取り扱う実験責任者等は、病原体等による感染が疑われる場合は、直ちに取扱主任者、実験責任者又は研究室担当にその旨を届け出なければならない。

2 前項の届出を受けた者は、直ちに当該病原体等による感染の有無について、詳細な調査をしなければならない。

3 取扱主任者は、前項の調査の結果、当該病原体等に感染したと認められる場合又は医学的に不明瞭である場合は、直ちに学長に報告しなければならない。

(事務)

第31条 学長の総括に係る事務、安全管理委員会に係る事務及び取扱主任者の職務に係る事務は、教務部研究推進課及び総務部財務管財課が行う。

(実施細則)

第32条 この規則の実施に関し、必要な事項は、安全管理委員会の意見を聴いて学長が定める。

(規則の改廃)

第33条 この規則の改廃は、安全管理委員会、各学部教授会及び教育研究会議の意見を聴いて学長が行う。

この規則は、平成19年6月20日に制定し、平成19年10月1日から施行する。

この規則は、平成27年3月17日に改正し、平成27年4月1日から施行する。

この規則は、平成31年1月24日に改正し、平成31年4月1日から施行する。

この規則は、令和3年1月27日に改正し、令和3年4月1日から施行する。

この規則は、令和3年5月27日に改正し、令和3年7月1日から施行する。

この規則は、令和4年4月28日に改正し、令和4年4月1日から適用する。

麻布大学病原体等安全管理規則

平成19年6月20日 規則

(令和4年4月28日施行)

体系情報
第2編 学/第8章 その他大学関係
沿革情報
平成19年6月20日 規則
平成27年3月17日 規則
平成31年1月24日 規則
令和3年1月27日 規則
令和3年5月27日 規則
令和4年4月28日 規則