獣医学部 動物応用科学科
菊水 健史 教授
茂木 一孝 講師
永澤 美保 特任助教
社会行動、母子関係、ストレス、社会認知、母性行動、ホルモン
本研究室では動物のもつ社会性に関わる脳機能、「Social Brain」の解明をめざし、社会行動の神経メカニズム解明(neural mechanisms of social behavior)、社会認知機構(social cognitive function)、社会性に関わる幼少期社会環境の影響(developmental influences on social brain)に関する研究を行います。これら研究を通して動物の社会性を科学的に理解することで、動物生命科学への貢献を軸とし、人間社会との接点における動物との共生について考察を深めることを目的としています。
Social cognitive function:
動物の “こころ”と未知なる能力の解明をめざす。
動物の社会認知機構の科学的・生物学的研究を通して、その意義の理解を目指します。動物たちはお互いどのようにコミュニケーションをとっているのか?その背景となる神経機構は?動物はなぜ他個体の存在を理解し、それに応じた適切な行動をとるのか?これらのさまざまな疑問に答え、「社会脳」の適応的意義からの、動物の社会認知機構の理解を目指します。現在の主なテーマは以下の通りです。
- マウスの嗅覚系を介した雌雄間コミュニケーション
- マウスブルース効果発現における記憶細胞の機能解明
- マウスの「Love Song」の生物学的意義の解明
- マウス母子間の超音波コミュニケーションに関わる神経機構
- イヌの社会認知における視線の役割の解明
- イヌの情動表出における左右分化機能の解析
- イヌの自己認知機能の解析
Developmental influences on social brain:
どのような社会環境が、動物の「社会脳」を育てるのか。
動物にもヒトと同じようにさまざまな個性が存在します。例えばひとなつっこいイヌがいるのに対して、番犬として優秀な攻撃性の高いイヌもいます。動物はどのようにこのような行動学上の個性を獲得したのでしょうか?“三つ子の魂、百まで”と言われるように、幼少期の社会環境、特に母子関係のよしあしが動物の行動パターン形成に与える影響は大変大きなものです。たとえば幼少期に母親から早期に離された動物やストレスを受けた動物では、成長後も不安行動や攻撃性が増加することが知られています。伴侶動物学研究室ではマウスをモデル動物として用い、このような社会性の発達に関するメカニズムの解明、また幼少期の母子関係に障害が起こってしまった場合の治療方法開発の研究を行います。特に中枢オキシトシン神経系の発達における幼少期環境の役割について、遺伝子改変マウスやsiRNAなどの分子生物学的手法を駆使して、その神経メカニズムの解明に挑みます。現在の主なテーマは以下の通りです。
- マウス早期離乳による脳内記銘メカニズムの解明
- マウス早期離乳による不安増強の改善手法の確立
- 母子環境と脳内オキシトシン神経系の発達
- マウス母子間の社会的緩衝作用に関する因子同定とメカニズムの解明
- 社会経験による「育児脳」形成の神経メカニズム解明
- イヌの母子間コミュニケーションが神経行動内分泌発達に及ぼす影響の解析
- 老齢性認知障害の改善手法の確立
研究のための実験は、学生実験とは異なり、答えがわからない結果から新しい生物現象が理解できるようになります。このことから、「研究」とは学生実験のレポートとは異なり、前人未到の領域に足を踏み込むことになります。この知的好奇心の探求が、研究の最大の動機だと言えます。研究は成功と失敗の繰り返しからなるものであり、決して終わることのない、探求です。どこかで区切りをつける必要はありますが、そこからは新しい展開が必ず見えているはずです。このような精神をもって研究に臨むべきと考えています。
何事も外に向けて、研究室の殻、大学の殻、そして自分の殻をやぶり、大きく展開し、その中での自分の研究の立ち居地を考え、確認する作業は研究活動で必須のものです。自分の領域にとどまり、言い訳をしはじめるようなら、自分自身の成長を止めることになっていると言っても過言ではありません。
本研究室では上記研究テーマにそって、「真剣に」研究に取り組める学生を募集します。
7号館 3階 303・304・305号室

