ラナウイルスとは ラナウイルスは、Iridovirus イリドウイルス科に属する

両生類のウイルス感染症として重要なウイルスのほとんどが、このイリドウイルス科に属している。
イリドウイルスの「irido」はギリシャ語のiris, iridos (虹色、女神の名前) に由来し、感染細胞の中に集積したウイルス粒子が虹色を呈することから命名された。

イリドウイルスの分類

1.イリドウイルスIridovirus 属 昆虫
2.クロルイリドウイルスChloriridovirus属 昆虫
3.ラナウイルスRanavirus属  両生類、爬虫類、魚類
4.リンホシスチスLymphocystivirus属 魚類
5.メガロサイチMegalocytivirus属 魚類

この他、未分類unassingedのウイルス群 両生類

ラナウイルス ラナウイルスの一種

ラナウイルスの脅威

マダイのイリドウイルス(RSIV)感染症

・本病は,1990 年の夏から秋にかけて四国の養殖場で最初に発生し、マダイの大量死を引き起こした。
・西日本各地の養殖場で流行を繰り返している。急速に発生漁場が拡大し、本病の発生:18 府県。
稚魚のみならず成魚も殺す
・スズキ目の魚類を中心に331 魚種

 これまでに我が国で発生した養魚のウイルス病としては最大規模の被害を与えている。

※国内では、両生類のイリドウイルス感染症(ラナウイルス感染症)は見つかっていない(2007年現在)

国際動物保健機構OIE(旧国際獣疫局) 重要な野生動物の感染症

Domestic animal diseases and others (OIE listed for wildlife) 野生動物

1992〜2005年 ラナウイルス感染を疑う報告

3,400件、62,000匹以上のカエルの死に関する情報が寄せられた。

「カエルやサンショウウオの死体を送ってください」-デンマーク

「カエルやサンショウウオの死体を送ってください」―デンマーク工科大学(DTU)が一般市民に対してこのように呼びかけている。集まった死体は両生類への脅威となっている病気の研究に使われるという。技術系業界紙「Ingenioeren」が伝えた。

主に南米、豪州、アジアで確認されているラナウイルス属とツボカビは、両生類にとって致死性の感染症を引き起こすことで知られている。すでに欧州への上陸も確認されており、DTUの国立獣医学研究所ではデンマークでの感染状況について調査を行うため、検体を必要としているという。

DTUは一般市民に対し、カエルやサンショウウオの死体を見つけたらビニール袋に入れて冷凍し、送付するよう呼びかけている。また死体を送付した人には、ラナウイルス属に関するウェブサイト「Ranavirus.net」のアンケートに回答することも求められていて、回答後1週間以内にDTUの研究者から連絡が入るという。

Ranavirus.net    http://www.ranavirus.net/

イギリス ヨーロッパアカガエルにおけるラナウイルス

・1985-1991 異常な個体数の減少が起きた。
・1992-1997 原因究明の調査が開始され、年間数万匹の単位で減少していることがわかった。
・原因:ラナウイルス
・臨床症状 2タイプあり
  皮膚潰瘍症候群タイプ
  出血症候群タイプ (しばしば赤足病を伴う)
  混合型  (しばしば赤足病を伴う)

オーストラリアBohleイリドウイルス(BIV)

タウンズビル(オーストラリア)の近くの一時的な池で収集

カエル Limnodynastes ornatus の変態個体から分離された。
1992年このウイルスは、変態中、変態直後のこの種類の飼育下両生類に死をもたらす。
外来種であるオオヒキガエルの成体にも病原性を示す。
感染はしばしば、致死性の全身疾患(肝、肺、腎臓の出血、壊死)を引き起こす。
BIVは両生類魚類の両方に病原性を示す唯一のウイルスである。

北米におけるラナウイルス

両生類のラナウイルス

少なくとも20種類以上の系統があるといわれている。

何に注意するのか? ・無尾類 ・有尾類

カエルにおける発生状況

・カエルの種類、ウイルスの系統によって異なる。
・在来種でどのような症状を示すか不明
・一般に幼体>>>成体

注意すべき点

1.幼体 特に変態中、あるいは変態直後 いわゆる カエルジャクシ
2.大量死(産卵数の多いウシガエルで異変に気づき易い)

カエルにおける臨床症状

1.皮膚の赤み(紅斑)
2.皮膚潰瘍、全身的皮膚出血
  特に口部、クロアカ周囲
3.四肢の壊死(指先欠損、水かき欠損)
4.無気力
5.水腫
6.削痩
  非常に不自然な大量死
  死体が毎日のように観察される。

有尾類における発生状況(1)

トラフサンショウウオ(USA)の場合

・流行時数百〜千の単位で死体観察
・幼体ばかりが目立つ
・池の水際、水中、湖底
・沈鬱、動きが緩慢、姿勢を保てない。浮遊。赤班と腫脹(前躯の鰓付近、後肢で目立つ)
・皮膚の出血と潰瘍、皮下織と筋間水腫、多発性出血を伴う肝臓の腫大と蒼白

有尾類における発生状況(2)

あるサンショウウオの場合

・潜伏期2週間前後 ・幼体および成体、すべてが冒される ・皮膚潰瘍(抗生物質に無反応)、腹部皮膚の出血 ・皮下水腫、体腔水腫

診断法

・病理学的検査
 新鮮生材料(凍結は避けたい)
 ホルマリン固定材料

・分子生物学的検査
 新鮮生材料、冷凍材料、アルコール固定材料(パラフィン切片でも可能)

・培養
 新鮮生材料、冷凍材料(カエルツボカビより容易といわれている)

見つけたら

・通報(カエルツボカビに準じて)
 麻布大学、コア獣医師、自治体担当部署など

・動物の回収(可能であれば)

・拡散防止
 死体の回収・焼却
 生体の移動制限
 長靴、網など消毒

・消毒 (飼育施設、用具など)
 熱湯、アルコール消毒、塩素系消毒薬、ヨウ素系消毒薬(イソジン)など

動物の回収・送付

1.新鮮な死体あるいは瀕死の検体を冷蔵で送付
2.あまり新鮮でない死体 冷凍で送付
3.腐った死体はすべて回収して焼却

いつ国内で発生しておかしくない状況、すでに発生している?
ヒトには感染しない。長靴、網などは消毒。

送付先:麻布大学 (要事前連絡)
252-5201
神奈川県相模原市淵野辺1-17-71
獣医学部病理学研究室
042-769-1628 (TEL & FAX)
v-path@azabu-u.ac.jp