麻布大学

卒業生メッセージ(ウェブ版)

動物の気持ちになって考えることの重要性に気づきました

鳥獣利活用推進担当
農林水産省農村振興局 農村政策部 鳥獣対策・農村環境課 鈴木 健斗
2018年卒業/2020年大学院修了/東京都・順天高等学校出身(取材:2022年2月)

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動物への知的好奇心を満たしてくれた専門的な学び

 麻布大学ではすべての授業が面白かったことが印象に残っています。幼いころから理科の授業や動物に興味があり、中でも野生動物のドキュメント番組を見るのが好きでした。高校の生物の先生に、野生動物に関する分野に進みたいと相談したところ「麻布大学なら有名な先生がいるよ」と教えられ動物応用科学科へ進学を希望しました。
 麻布大学では、1年次から専門の領域に触れられてとても楽しく勉強ができました。自分が関心のある野生動物の分野だけでなく、動物全般について幅広く学べたのが良かったと思います。面白かったのは教室で受ける講義だけではありません。2年次の「牧場実習」では青森県の牧場へ行き、豚舎の掃除など生産者さんの仕事を体験しました。大変でしたが有意義な経験を積むことができました。教室での勉強と手や体を動かす実習を両立させながら、自分が興味を持つ分野をバランス良く学べるのが麻布大学の良いところだと思います。
 3年次から「野生動物学研究室」に所属しました。実はこの研究室には、1年次のときにお手伝いとして参加し、学園祭での展示作成をサポートしたことがありました。その時の展示内容がわかりやすく、先輩の考察が奥深かったことが印象に残っていたのです。そこで関心が高まり、この研究室でフィールドワークに取り組んでみたいと強く感じたことを覚えています。
 その後、シカをテーマに、野生動物の社会性について研究を行いました。シカの行動を直接観察することで、シカの社会がどのように構築されているかを探る研究で、人間と野生動物の共生に向けて社会課題を解決するための基礎を研究しました。宮城県の金華山島というところに滞在してシカを観察し、どのシカとどのシカが仲が良いのだろうか、シカとはどういう生き物なのだろうかなど、さまざまなことを考えるうちに、社会課題の解決においても、動物の気持ちになって考えることの重要性に気づくことができました。

「自分でやってみなさい」で鍛えられた発信力

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 研究室以外で強く印象に残っているのは「応用動物心理学」の授業です。授業では7人1組となり被災地から譲り受けた犬のトレーニングを行いました。臆病で、人を怖がるような子犬でした。最初は子犬と仲良くなれるか不安でしたが、チーム全員でどのようにしたら課題を解決できるか考え、散歩に連れて行ったりエサをあげたりしながら、徐々に子犬と意思疎通を行えるようになりました。授業の最後には、名前を呼ぶと飛んでくるほど懐くようになりました。今の仕事を含め、さまざまなことにつながる良い経験でした。
 麻布大学では、いろいろなことを「自分たちでやってみなさい」と任せてもらうなど、試行錯誤する時間を与えていただけます。決まったことだけをするのではつまらないですし、社会に出てから、自分やチームの仲間と一緒に考える練習にもなります。研究室では先輩にプレゼンテーションをなうこともありました。自主性を重んじながら、周囲のサポートも厚い麻布大学の校風のおかげで、自ら考えて発信する力をつけられたと感じています。

公務員試験対策も充実したサポート

 大学院を修了し、現在は農林水産省の職員として鳥獣被害や環境保護に関連する仕事を行っています。1年目には、イノシシの被害について地域の農業従事者からヒヤリングを行い、状況をまとめていく中で、徐々にイノシシが移動していることに気づき問題提起をしました。これは大学時代に学んだ、動物の気持ちになって考えることが役立っていると思います。これからも、できれば鳥獣被害対策を担当しながら、麻布大学での学びを生かして野生動物と人間が共生できる環境を構築し、農業従事者を支援していければと考えています。
 後輩のみなさんの中には私と同じように公務員をめざす方も大勢いらっしゃるかと思います。麻布大学では公務員試験専用の講座や個別相談を開設していたり、就職閲覧室に過去問題を置いていたりするなど、さまざまな対策を行っています。こうした機会を生かしながらしっかり準備するようにしてください。

「実践力」Up! ここがおすすめ

図書館

a_suzuki03.jpg 動物の研究は研究者が海外に集中していることがあるので、専用システムで海外の論文を探したり、本や文献を取り寄せたり(一部コピーの場合あり)しました。有意義に活用しました。