麻布大学

キャンパスライフCAMPUS LIFE

麻布大学ハラスメント等人権侵害防止ガイドライン

平成11年4月1日 制定

1. 基本方針

麻布大学(麻布大学附属高等学校を含む。以下「本学」という。)は、学生(生徒を含む。以下「学生」という。)・職員(教員及び事務職員とし、以下「職員」という。)が個人として尊重され、互いの信頼に基づき、学業・教育・研究・就業にいそしむことのできる環境をつくり、これを維持していくことが重要と考えます。 相互信頼を損なう行為は、生命、環境及びそれらの共生に関する専門の学術を教育・研究し、人類の生活向上に努める場である本学の存立を危うくするものです。 セクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント、パワー・ハラスメント等の相互信頼を損なう行為は、学生・職員等の人権を侵し、学業・教育・研究・就業の場を乱し、平穏かつ健全な活動を阻害します。 本学は、いかなるセクシュアル・ハラスメント等による全ての人権侵害についても黙認されたり、見過ごされたりすることがないよう、その防止と対応について厳しい姿勢で臨み、問題解決に努めます。 そこで、本学は、「麻布大学ハラスメント等人権侵害防止ガイドライン」を制定するとともに、「麻布大学ハラスメント防止委員会」(以下「ハラスメント防止委員会」という。)を学長の下に設置し、ハラスメント等の人権侵害の防止と被害からの救済・回復及び再発防止に真剣に取組みます。 学長は、ハラスメント等の人権侵害の防止と被害からの救済・回復及び再発防止に関する全学的な施策や措置について責任を負い、各部局の長は、施策や措置の実施について責任を負います。本学の学生・職員は、この問題を自覚し、自己啓発に努めることを求められます。

2. 定義

1) セクシュアル・ハラスメント

セクシュアル・ハラスメントとは、性的な言動への対応によって相手が不利益を受けること(対価型)や、性的な性質の言動によって、相手の学業・教育・研究・就業環境が害されること(環境型)です。相手が不快と思うかどうか、相手が望まない言動かどうかが、セクシュアル・ハラスメントであるかどうかの要件なのであって、行為者がどのようなつもりであったかは、要件ではありません。「相手が明確に拒否の意思を表示しないこと=相手が不快ではない、又は望んでいる。」ということではありません。性的な言動とは、性的な内容の発言や性的な行動をいい、相手・行為者の性別は問いません。同性間の場合もあります。男女の固定的な性別役割意識に基づくものも含みます。

  1. 地位、立場、権限を利用し、成績評価や人事において、利益、不利益を条件として相手に性的な要求・誘いかけをすること。
  2. 性的要求・誘いかけに応じたか否かによって、相手に利益、不利益を与えること。
  3. 性的・性差別的な言動や掲示、性差別的な嫌がらせによって、相手に不快の念を抱かせ、学業・教育・研究・就業環境を悪化させること。
  4. 性的・性差別的な内容の掲示、メール送信、SNSへの投稿等によって、相手に不快な念を抱かせ、学業・教育・研究・就業環境を悪化させること。
  5. 性的な内容を含まなくても、私生活に関する執拗な発言や誘い、プライベートな時間におけるメール返信の強要等(の持つ性的な性質)によって、相手に不快な念を抱かせ、学業、教育、研究、就業環境を悪化させること。

2) アカデミック・ハラスメント

教員等の権威的又は優越的地位にある者が、意識的であるか無意識的であるかを問わず、その優位な立場や権限を利用し、又は逸脱して、その指導等を受ける者や他の構成員の研究意欲及び研究環境を著しく阻害する結果となる、教育・研究上不適切な言動、指導又は待遇を指します。

  1. 教員間であれば、権限のある同僚等による研究妨害や昇任差別、退職奨励など。
  2. 教員と大学院生及び学生の間であれば、指導教員からの退学、留年勧奨、指導拒否、指導上の差別行為、学位の取得妨害、就職上の指導差別、公平性を欠く成績評価、研究上の失敗に対する執拗な叱咤、早朝・深夜などの不適切な環境条件下での指導の強制など。
  3. 昇任審査、学位審査、研究指導等において、特定の者を他の者と差別して、必要以上に厳しい条件を課すこと、指導を超えて人格を否定するような言動を繰り返すことなど。
  4. 研究妨害の具体的な行為としては、教員間並びに教員と大学院生及び学生の間で、研究テーマを与えない、研究を遂行する上で必要な機器の使用を認めない、研究試料を無断で廃棄する、研究費や旅費を配分しない、研究発表の機会(学会発表、論文投稿等)を与えないなど。
  5. 研究成果の具体的な搾取行為としては、アイデアを無断で盗用する、論文作成の妨害をする、研究上重要な貢献をしたにもかかわらず著者から外す、研究に無関係な者を共著者に入れることを強要するなど。

3) パワー・ハラスメント

職務上やその他の地位、人間関係などの優位性を利用して、適正な範囲を超えて指導や注意を行うことにより、精神的、身体的苦痛を与え、相手の就労上やその他の利益や権利、人格、尊厳を侵害する言動、職場やその他の環境を悪化させる言動を指します。なお、上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下(後輩)から上司(先輩)に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれます。

  1. 身体的な攻撃(暴行、傷害)
  2. 精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言)
  3. 人間関係からの切離し(隔離、仲間外し、無視)
  4. 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
  5. 過小な要求(業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと。)
  6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること。)

4) 妊娠・出産・育児休業・介護休暇等に関するハラスメント

妊娠・出産したこと又は妊娠・出産、育児休業・介護休暇等に関する制度等の利用によって就労上支障をきたすという理由で、精神的・肉体的な嫌がらせ等を行う行為のこと。就労だけではなく就学の場においても、妊娠・出産・育児・介護のための休み等に関わるハラスメントも含みます。

  1. 制度等の利用の請求等(措置の求め、請求又は申出をいう。以下同じ。)をしたい旨を上司に相談したこと、制度等の利用の請求等をしたこと又は制度等の利用をしたことにより、上司から解雇その他不利益な取扱いを示唆されること。
  2. 制度等の利用の請求等をしたい旨を上司に相談したところ、上司から当該請求等をしないよう言われること。
  3. 制度等の利用の請求等をしたところ、上司から当該請求等を取り下げるよう言われること。
  4. 制度等の利用の請求等をしたい旨を同僚に伝えたところ、同僚から繰り返し又は継続的に当該請求等をしないよう言われること(当該者がその意に反することを当該同僚に明示しているにもかかわらず、更に言われることを含む。)。
  5. 制度等の利用の請求等をしたところ、同僚から繰り返し又は継続的に当該請求等を取り下げるよう言われること(当該者がその意に反することを当該同僚に明示しているにもかかわらず、更に言われることを含む。)。

5) その他の人権侵害

その他の人権侵害とは、性、人種、国籍、年齢、セクシュアリティ(性的同一性と性的指向)、障害の有無などに基づく差別的な言動及び差別的取扱いを意味します。
人権侵害による被害申立若しくは相談等への本学の対応又は本学構成員等の対応により精神的・身体的自由を侵害し、学修(学習)・研究・就業環境を侵害することも含みます。

3. 適用範囲

本ガイドラインの適用範囲は、本学の構成員及びそれに関わる者です。ハラスメント等の人権侵害が生じた場所及び時間は問いません。本学の構成員とは、本学の学生及び本学で教育を受ける全ての者(研究生、研修獣医師、研修生、聴講生、科目等履修生、留学生等)、本学を職場とする全ての職員、契約職員、非常勤職員等を指します。

  1. 本学は、本学構成員とクラブ活動などの課外活動の指導者との間、及び本学構成員と本学を職場とする他団体職員(同窓会職員、生協職員、委託会社職員等)や飼い主との間のハラスメント等の人権侵害の事案には、それぞれ、本ガイドラインを準用し、できるだけ被害者の意に添うように努力します。
  2. 本学の学生の学外実習先の機関に対しては、本ガイドラインを明示し、実習中の学生がこのような行為を起こしたり、起こされたりしないように努力します。
  3. 本学に出入りする事業者に対しては、前記2)と同様に本ガイドラインを明示し、本学構成員との間にこのような行為を起こしたり、起こされたりしないように努力します。
  4. 既に卒業又は退学若しくは離職により本学を離籍した者については、離籍後6か月以内に相談があって、相談時に加害者が本学に在学又は在職している場合に限り、過去の被害について相談することができ、本ガイドラインを適用します。

4 組織とその役割及び手続

1) 相談員

  1. 学生・職員のハラスメント等の人権侵害に関する相談に応じるためハラスメント等相談員(以下「相談員」という。)を置きます。
    • 学内相談員
      (ア)学内相談員は、大学の各学部、健康管理センター、事務局及び高等学校に置きます。
      (イ)学内相談員は20人とし、その氏名と連絡先は、年度始めに公表します。
      (ウ)学内相談員は、ハラスメント等の人権侵害に関する相談があった場合には、相談をした者(生徒の場合は保護者を含む。以下「相談者」という。)の意向で選定した他の1人の学内相談員とともに、以下の手順で進めます。
      (a)学内相談員は、相談者のプライバシーの厳守、更にハラスメント防止委員会への報告、調査委員会からの連絡及び調査の進め方(相談者に対して調査の進行段階ごとに口頭で説明し、次段階への同意を求める。)について、相談者に説明します。
      (b)学内相談員は、カウンセラーの同席が必要かどうか、及びその後のカウンセラーによるケアが必要かどうかについて、相談者の意向を聴きます。
      (c)二次的なハラスメント等を防止するために、学内相談員は、初回の面接で、相談者の意向を十分に汲み取ります。
      (d)学内相談員は、相談者の同意を得て、相談結果について速やかにハラスメント防止委員会に報告します。同意が得られない場合は、相談者本人が特定できない形式、プライバシーが守られた状態でハラスメント防止委員会に報告します。
      (e)ハラスメント等の人権侵害を受けた者は、学内相談員以外の学外機関などに相談することもできます。
    • 学外相談員
      (ア)学外相談員は、ハラスメント防止相談室に置きます。
      (イ)学外相談員は学外者で構成されます。その役割は学内相談員と同等です。
      (ウ)学外相談員への相談予約の方法は、大学HPに掲載されます。

2) ハラスメント防止委員会

  1. ハラスメント防止委員会は、大学の各学部、事務局及び高等学校の職員からなる委員10人で構成されます。
  2. 相談員から報告を受けたハラスメント防止委員会は、学長に報告の上、必要に応じ、ハラスメント等調査委員会(以下「調査委員会」という。)をハラスメント防止委員会内に設置し、事実調査を行います。
  3. ハラスメント防止委員会は、相談者について、ハラスメント等人権侵害の被害からの救済・回復のための緊急な措置が必要な場合、相談者の意向に沿い、相談者の名誉、人権及びプライバシーに十分配慮して、カウンセラー、健康管理センター職員、クラス担任、養護教諭、学外の専門家(専門医、カウンセラー、弁護士等)に協力を求めます。
  4. ハラスメント防止委員会は、調査が3か月以内に終了するように、調査委員会に協力します。
  5. ハラスメント防止委員会は、調査委員会からの報告を受け、これを検討し、ハラスメント防止委員会の意見を決定します。
  6. ハラスメント防止委員会は、前記(5)の決定内容について、報告書を付して、学長に報告します。
  7. ハラスメント防止委員会は、学長が実行しようとする措置に対して意見を述べることができます。

3) 調査委員会

  1. 調査委員会は、当事者及びその他関係者から、公正な事情聴取を行います。この場合、調査委員会は、相談者の身元及び相談内容が加害者とされている当事者に知らされることについて、相談者の同意を得ます。
  2. 調査委員会は、事情聴取対象者の名誉、人権及びプライバシーの保護に十分配慮します。
  3. 調査委員会は、事情聴取対象者が不利益を被らないように配慮します。事情聴取対象者が、不利益を被った場合は、ハラスメント防止委員会に申し立てることができます。
  4. 調査委員会は、必要に応じて、専門医、カウンセラー、弁護士等外部の者の意見・診断を求めることがあります。
  5. 調査委員会は、調査終了後、調査結果について報告書を作成し、ハラスメント防止委員会に報告します。必要に応じ、ハラスメント等の人権侵害の被害を受けた者(以下「被害者」という。)に対してとるべき被害からの救済・回復及び再発防止のための措置について、具体的な解決策を含めた内容を提案します。
  6. 事情聴取対象者が、虚偽の申立てや虚偽の証言をしたことが判明した場合、ハラスメント防止委員会は、学長に報告します。

5 被害からの救済・回復に関する手続

  1. 学長は、ハラスメント防止委員会の報告を受け、これを勘案し、被害者の健全な学業・教育・研究・就業環境の救済・回復及び今後の再発防止のために必要な措置を実行します。
  2. 学長は、前記1)の措置について、プライバシーに配慮の上、公表します。

6 手続にかかわる者の義務

  1. 学内・学外相談員、防止委員会委員、調査委員会委員、学長その他職務上情報を知り得た者は、当該事項について秘密を守らなくてはなりません。それぞれの任務終了後も同様とします。
  2. 手続等にかかわる者は、当事者(相談者、加害者とされている者、事情聴取者を含む。)のプライバシー及び名誉を守り、人権を尊重する義務があります。

7 啓発活動

ハラスメント防止委員会は、ハラスメント等の人権侵害及びその防止について理解を 深めるため、次に掲げる啓発活動を行います。

  1. 書面を利用した啓発活動
    (1)学生及び職員に対して、リーフレットを作り、配布します。
    (2)学生に対して、「CAMPUS INFORMATION」及び「生徒手帳」にハラスメン ト等の人権侵害の概要と相談員について記載します。
  2. ネットワークを利用した啓発活動
    学生及び職員に対して、大学ホームページ及びポータルサイトの掲示板に「麻布大 学ハラスメント等人権侵害防止ガイドライン」の全文を掲示するとともにハラスメン ト等の人権侵害の概要、相談員及びハラスメント防止委員会の活動を掲載します。
  3. オリエンテーションでの啓発活動
    学生に対して、学年ごとに行われるオリエンテーションで、ハラスメント等の人権 侵害防止に関する情報を提供します。
  4. 講演会による啓発活動
    学生及び職員に対して、ハラスメント等の人権侵害に関する講演会を開催します。 この場合、学長は欠席の職員がないよう、強く参加を要請します。
  5. その他
    必要に応じ、本学におけるハラスメント等の人権侵害についてアンケート調査を行 い、結果を公表します。

8 改廃

このガイドラインの改廃は、教学会議の意見を聴いて学長が行います。

附 則

このガイドラインは、平成11年4月1日に制定し、同日から施行する。

附 則

このガイドラインは、平成16年5月19日に改正し、平成16年6月1日から施行する。

附 則

このガイドラインは、平成20年4月16日に改正し、平成20年6月1日から施行する。

附 則

このガイドラインは、平成21年7月22日に改正し、平成21年4月1日から適用する。

附 則

このガイドラインは、平成24年3月7日に改正し、平成24年4月1日から施行する。

附 則

このガイドラインは、平成25年5月28日に改正し、平成26年4月1日から施行する。

附 則

このガイドラインは、平成27年3月17日に改正し、平成27年4月1日から施行する。

附 則
  1. このガイドラインは、平成30年3月16日に改正し、平成30年4月1日から施行する。
  2. 学校法人麻布獣医学園公益通報等に関する規則第4条第1号の「麻布大学セクシャル・ハ ラスメント等人権侵害防止ガイドライン」は、「麻布大学ハラスメント等人権侵害防止ガ イドライン」に改正する。
附 則

このガイドラインは、令和5年10月25日に改正し、令和5年11月1日から施行する。