麻布大学

卒業生メッセージ(ウェブ版)

水質汚濁防止法を取り扱う業務に携わっています

技師
山梨県 中北林務環境事務所 環境課 竹田 凌太郎
2020年卒業/山梨県立甲府東高等学校出身 (取材:2021年2月)

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緑豊かで落ち着いた雰囲気に引かれ、麻布大学へ

 幼少期から自然が好きで、遊園地で遊ぶよりも森や海で生き物と触れ合うほうが楽しかったことを覚えています。高校生になると「環境関連の仕事がしたい」と思うようになり、環境を多面的に学べる麻布大学を志望しました。
 麻布大学を選んだ理由は、緑豊かで落ち着いたキャンパスの雰囲気に引かれたからです。都心のど真ん中にあるわけではなく、かといって公共交通機関が不便というわけでもない――自然にあふれ生活しやすい山梨で育った私に合っていると直感したのが、大学選びの決め手でした。私が予想した通り、飾らずありのままの自分で過ごせる環境がこの大学にはあり、自然体で接してくれる数多くの仲間がいました。
 学びの内容も充実しており、環境問題全般のほか、浄水や廃棄物などの処理方法、今の仕事にもっとも役立つ「水質汚濁防止法」の関連知識など、環境について幅広く学ぶことができました。

誰かに必要とされると信じ、研究に励む

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 麻布大学で広く環境を学びながらも、私が水道関連に興味を持ち、卒業後の選択肢のひとつとするまでに、時間はかかりませんでした。3年次になると「水環境学研究室」に所属し、健全な水・土壌環境を取り戻すための研究を行いました。
 研究室の活動で印象に残っていることがあります。これは大学時代の一番の思い出とも言い換えられるのですが、3年次の授業「水処理工学実習」でクラスメイトをサポートしたことです。水環境学研究室の研究室生には、同じ班員に指導する慣習があったからです。サポートを行う上で覚えるべきことが多々あったほか、実習の予行演習を行うなど、準備段階で慌ただしく過ごしていました。その甲斐もあって水処理に関する知識がしっかりと身につき、現在携わる仕事に生かすことができています。
 卒業論文のテーマは、有機溶媒に汚染された地下水の浄化方法です。小さいながらも誰かに必要とされる研究であると自負を持っていたところ、現在携わる仕事において、私が行っていた研究テーマのような事例が実際にあったのです。そこでは除染方法を提案することができ、自信が得られました。提案の際には過去に発生したケースを取り上げたほか、卒業論文発表の内容を思い起こしつつ、段階的に無害化させていく除染方法の仕組みをできるだけ分かりやすく、シンプルに説明できたように思います。

山梨県の環境を守り、次世代へとつなげたい

 私は山梨県の技術職員(化学)として採用され、大気・水・土壌に係る公害関係の業務と、廃棄物の適正な処理を指導していく業務を担当します。この職種は私の興味にマッチしており、かつ大学で学んだ知識を十分に生かすことができます。そして何より、私の故郷・山梨県を支えることができると考え、この職種を選びました。
 現在は、「水質汚濁防止法」をはじめとする公害関係法令を取り扱う業務に携わっています。具体的には、水質を中心とする汚染を防ぐために規制や指導を行ったり、地下水を実際に採水して汚染の有無を監視したりしています。入庁前はデスクワーク中心になることを想定していたのですが、想像以上に現場に出る機会は多いです。それでも時間的には事務処理のほうに多くを費やしています。そんな事務処理のひとつが、工場などの排水処理施設における処理能力の事前審査です。水質の汚濁を未然に防ぐため、日々緊張感を持ちながら仕事を進めています。
 山梨県全域の環境を法に基づいて守るいわば"番人"のような仕事であることから、責任の重さをひしひしと感じます。それ故にやりがいも大きいです。もし、この記事を読んでいる方の中で、「化学の知識を生かしたい」「自然が好きで、環境を守る仕事に就きたい」「多くの人のためになる仕事がしたい」にひとつでも該当するとしたら、技術系(化学職)の公務員をお勧めします。
 今後は大気・土壌・廃棄物の担当としても経験を積み、幅広く的確に対応できる職員となれるよう知識を身につけたいです。そして、環境保全・公害防止におけるプロフェッショナルになることをめざしています。自然に恵まれた山梨県の環境を守り続け、次世代に確実につなげられるよう、これからも力を尽くします。

学びのツール

e_takeda03_.jpgスマートフォンはあらゆる場面で駆使しました。調べ物には検索機能が、実験の状況を記録するために撮影機能が役立ちました。山梨県にある実家から約2時間半掛けて通学していたため、レポート作成や試験対策などもスマホを用いて移動中に行いました。