麻布大学

卒業生メッセージ(ウェブ版)

「環境保全をビジネスに!」
マーケット拡大の初志貫く

環境コンサルタント営業

いであ株式会社 勤務 立石 悟

環境ビジネスの将来性を予感

立石さん画像私は高校生の頃から、環境問題の解決に直接貢献できるような仕事がしたいと考えていました。一方で、環境保全はお金になりにくい現状にも気づいていました。

そんな考えを巡らせていた時期に、私の地元・福岡で行われた大学の合同説明会で、環境について幅広く学べる麻布大学を知り、興味を持ちました。会場にいらっしゃった先生方に、次のような思いの丈を伝えました。

「環境保全事業を商業ベースに乗せることができれば、新しい環境ビジネスが生み出せます。指数関数的に市場規模が大きくなり、ビジネスは膨らんでいくでしょう。税金を使って環境問題対策を進めるよりも、加速度的に環境保全が実現できると思います」

話に耳を傾けてくださった獣医学部の先生は、当時「環境遺伝子工学研究室」にいらっしゃった教授とのつながりを作ってくださいました。

早速、研究室の教授にアプローチを試みました。「麻布大学のオープンキャンパスでお会いしましょう」というところまで話は進んだのですが、あいにく当日、教授に別のご予定が入ってしまいました。
「もう一人の先生に立石くんのことを話しておくよ」
と言われ、ご紹介いただいたのが、さまざまな面でお世話いただくことになる研究室の担当教員・久松伸先生との出会いでした。

期待に胸を弾ませながら環境遺伝子工学研究室へ向かい、先生からいろいろと話を伺う中で、麻布大学と同研究室に方向性が定まりました。

植物を用いた環境修復のほか、細菌を研究

立石さん画像研究室では、植物を用いた環境修復や細菌について勉強しました。印象深いのは、有害な脂溶性物質であるPCBをイチョウで分解できないか? という「バイオレメディエーション」研究です。イチョウの葉は油分が多いことから、落ち葉を捨てずにおくと、1年程度は鮮やかな黄色を保ったまま腐敗しません。しかし、大学内の某所に保管すると腐るという情報を入手。研究室の久松先生が微生物との関連性を指摘し、油分の多いイチョウでPCBを分解できるかをみる研究が始まりました。

イチョウの落ち葉を集積し、温度や湿度を測りながら実際に腐敗させ、そこから微生物を単離。取り出した微生物にPCBを与え、その代謝を観察しました。PCBは減少するのか? 果たしてその菌は何か? ――そういったことを追究しました。私が所属していた吹奏楽部の仲間までもが力になり、冬の早朝に大量の落ち葉を集めたことが、良き思い出です。

環境科学科での学びを礎に、初志を貫く

今の技術営業職を志望したのも、久松先生からの勧めがきっかけでした。私が高校生だった頃、初めて先生にお目にかかったときから将来の夢を話していたので、先生は私の目的を理解しておられました。環境ビジネスは国による政策が市場成立の由来になっていることが多く利潤追求が難しいため、行政や非営利団体が資金を調達し、企業へ発注するケースが固定化されています。しかし、私はあえて行政ではなく、総合コンサルタントの営業を志望していました。その点も、先生はよくご存じでした。

実際、弊社は検討・計画から調査、施工管理までの一連の流れをワンストップで行い、環境に関する事業を幅広く展開しています。弊社がスローガンとして掲げる「イノベーションとマーケティングによる市場創生・新規事業の展開」は、まさに自分が長年にわたって温めてきたビジョンと一致していました。

大学で得た環境科学全般にかかわる総合的な知識は、官公庁や地方自治体から発注される環境・建設分野案件に向けた営業活動や技術者との会話などにおいて、大いに役立っています。また、弊社が調査・検討・設計した森林・川・海を見ると、環境保全に貢献していることを実感します。

今はまだ競合相手のいない領域だからこそ、ビジネス拡大の一端を担いたい――弊社が主体となって環境保全事業を確立するだけではなく、他社も参入してマーケットを成長・拡大させることが、私の最終的な目標です。