麻布大学

卒業生メッセージ(ウェブ版)

大学時代に得た知識と経験が現在の仕事に役立っています

マーケター
サンヨー食品株式会社 マーケティング本部 マーケティング部 第3課 古澤 大紀
2017年卒業/東京都立農業高等学校出身 (取材:2021年2月)

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基礎から専門分野まで、段階的に学ぶ

 「食」には元々興味がありました。小学校低学年のころから母親と一緒にお菓子づくりを始め、慣れてくると一人で生地を練り上げて麺類をつくるなど、料理することも昔から大好きでした。高校生になると料理人をめざすようになり、評判店の食べ歩きを楽しみにしていましたが、ある日テレビで食品メーカーのマーケティング部が紹介されているのを見た瞬間、商品づくりに釘付けになったのです。ディスカッションを通してコンセプトを決めたり、部署に届いたサンプルを食べて評価し合ったりという内容で、とても楽しそうな様子に引き込まれてしまいました。以来、食品メーカーへの入社に目標が変わりました。
 麻布大学の食品生命科学科では、食の基礎的知識を入り口に、専門的知識までを段階的に学ぶことができました。食にまつわる機能性と安全性、情報といった3つの観点から、実習も差し挟みながら体系的に理解を深めました。特に、機能性と安全性については、目下のところ全食品メーカーが重視しなければならないポイントです。これらの重要性を大学在学中にしっかりと認識でき、アドバンテージがあったと自負しています。

麻布大学での学びの「結果」「過程」が生きている

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 3年次から所属した「食品分析化学研究室」では、「食品の生産・加工・保存などの条件によって変化する味と味成分の分析」の研究に取り組みました。「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」の5つの基本味を計測し数値化する「味覚センサー」を用い、おいしさを化学的に評価する研究を通して、"味"に関する知見が得られました。こうして大学時代に実践的な知識を身につけて経験を積んだ学びの「結果」は、消費者の思考やトレンドを把握して商品のイメージを固め、コンセプト通りの味わいになっているか判断する部分の仕事に非常に役立っています。
 学びの結果のみならず、学びの「過程」も良かったです。先生方と学生の距離が近いため、手厚くサポートしてもらえました。講義や実習など学習面に限らず、プライベートのことまで何でも気軽に相談に乗っていただきました。就職活動におけるサポートも充実しており、研究室の先生方はもちろん、担任の先生や就職相談室の相談員の方などからきめ細かいフォローがありました。いただいたアドバイスの中でも印象的だったのは、いわゆる面接マニュアルにありがちの内容は語る必要がない、ということ。「よく見られたい」と自分を飾るよりも、「将来こうありたい」と願う自分、ありのままの自分をアピールすべきといった内容に深く共感しました。今の会社の面接にそのようなスタンスで臨んだことで、内定が得られた気がしています。
 そんな麻布大学での一番の思い出は、なんといっても研究室です。研究室の一期生だったため、機材をそろえるところから経験させてもらいました。研究に必要不可欠な知識を蓄えて卒業論文のテーマを決めるなどしてから半年程が過ぎ、ようやく研究が始まりました。何もかもゼロからのスタートで慣れないことが多く、メンバー間の意見がぶつかり合うなどさまざまな苦労がありましたが、研究を始められただけでも大きな達成感がありました。そのうれしさは、今も色あせていません。

高校時代に魅了されたマーケターの夢を実現

 現在は、商品のコンセプトから販売施策までを立案するマーケティング部門に所属しています。私がまだ高校生だったころ、テレビで見たシーンそのものの仕事です。私が担当するのは即席麺の新商品で、市場調査からユーザーのニーズを把握したあとは、開発部や営業部など他部署と連携して商品の「中身」を決め、デザイナーと協力して「外見」となるパッケージまで考案します。いわば、企画から発売後の検証までの全工程に携わり、商品を確実に"売れる"ものにしていく、大きな責任を伴う仕事です。それだけに、やりがいも大きいです。世の中に自ら企画した商品が発売され、消費者からの反響が大きかったときの喜びはひとしおです。
 現在携わる業務で経験を積み、ゆくゆくはロングセラーブランドにかかわっていきたいです。そのためには世の中のトレンドを理解した上で消費者の気持ちをひもとき、あらゆる側面を考慮しながら商品の価値を伝えていかなければなりません。そのため、身の回りのすべてが私にとっての検討材料となります。プライベートで買い物する際にも他の買い物客の行動をつぶさに観察し、なぜその商品を手に取ったのかまで考えます。これにより、ビッグデータ分析だけでは見えてこない、ひとつの「物語」が浮き彫りになるからです。
 さらには、自身の提案を理解してもらうためのプレゼンテーション力や熱意を受け入れてもらうためのアピール力も磨いていかなければと感じます。一日一日を大切に自主的に学び続けることで、着実に夢をかなえ続けたいと思っています。

学びのツール

f_furusawa03_.jpg食品分析化学研究室のテーブル。研究室発足直後は唯一このテーブルしかなく、まさに研究室の歴史はここからスタートしました。授業の合間は談笑の場として、定期試験前は勉強机として使うなど、みんなで有効活用しました。