麻布大学

卒業生メッセージ(ウェブ版)

食の安全を学び、選んだのは食品衛生監視員の仕事でした

食品衛生監視員
大田区保健所 健康政策部 生活衛生課 食品衛生担当 鈴木 綾乃
2018年卒業/神奈川県・鎌倉女子大学高等部出身 (取材:2021年2月)

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添加物の研究と両立させ、公務員試験に合格

 麻布大学では「食の安全」の領域を中心に学んだことから、⾷品衛⽣法などの法令に基づき⾷の安全を守る「食品衛生監視員」の仕事を選びました。保健所がある⾃治体には⾷品衛⽣監視員をおくことが義務づけられており、私は東京都大田区の保健所に勤務しています。地方公務員としての食品衛生監視員の業務は、主に「飲食店や食品工場など、食に関する施設の許認可」「食中毒対応および違反食品の対応」「食品衛生の普及・啓発」の3つに大別されます。そのほか、私が勤務する大田区ならではの業務として、東京国際空港(羽田空港)内で食品を製造・提供するような場所での衛生監視があります。食の安全に徹する地道な仕事だけに、事業者の方から感謝されることが何よりの喜びです。やはりポジティブな言葉を掛けてもらえると、向上心がさらに高まります。
 研究室は味の分析をテーマとする「食品分析化学研究室」に所属していましたが添加物に興味を持っていたため、先生のお取り計らいで「国立医薬品食品衛生研究所」へ出向し、研究させてもらうことができました。この研究所では優れた機器に触れることができたほか、国家機関の研究者の方々から刺激を受けつつ、多くのことが学べました。
 もちろん、麻布大学にも充実したサポート体制がありました。定期試験前には、先生方に気軽に質問できたほか、就職面では学内の「公務員試験対策プログラム」に参加するのみで、予備校へは一切通いませんでした。添加物についての研究を進める上で苦慮することもあったのですが諦めずに研究を続け、公務員試験対策と両立させつつ、特別区(東京23区)の採用試験に合格することができました。

"宝箱"のような大学時代

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 長い教育期間の中で、大学時代が一番楽しかったです。今の仕事に就くためのきっかけをくれただけでなく、末永くつながることができる先生や友達に出会うことができました。数ある思い出も含めて、本当にたくさんのことが得られた"宝箱"のような4年間だったと思います。
 講義や実習の授業の数々、一連の研究活動など学習面のほか、課外活動面も充実していました。私は写真部に所属しており、アルバイトを頑張ってためたお金で、プロ仕様の一眼レフカメラを2台買いました。これらで写真を撮ることはもちろん、カメラを携え仲間たちと国内各地のおいしいものを食べて回った楽しい記憶があります。夜中に車で出発して天の川を撮りに行ったり、石川県の金沢市で早朝からノドグロのおすしを食べたりと、かなりアクティブに行動していました。
 大学に入る前から抱いていたキャンパスライフのイメージは、「のびのびと自由な雰囲気」でした。その点、人間関係もドライで、人とのつながりも希薄になりがちでは? と思い込んでいたのですが、社会人となった今でも大学時代につながった先生方や仲間同士としっかり結びついています。研究室の先生方と食事に出掛けることがありますし、友人たちともよく語り合っています。大学時代に築いた人間関係が、これからの人生にも良い影響を与えるでしょう。

安心・安全な食生活を守るのが、食品衛生監視員

 食品衛生の専門知識によってみなさんのお役に立てることが、私の使命だと感じています。これからも専門知識を分かりやすく説明したり、事業者の方を的確にご指導したりするために向学心を忘れず、法律に精通し、最新の衛生管理に関する知識をアップデートし続けるつもりです。
 今後は他部署での業務も経験することで、この仕事にさらに磨きを掛けたいです。検査や環境衛生などの部署でもさまざまな知識とスキルを身につけ、事業者の方々を手助けし続けられれば本望です。
 食品衛生監視員は、人々が安心・安全な食生活を送るために欠かせない職業です。大学で学んだ内容が今の仕事内容にほぼ直結しており、麻布大学とのご縁があって本当に良かったと思っています。食品衛生監視員の資格は食品生命科学科のみならず、麻布大学の全学科において取得できます*。大学で深く学ぶうちにこの仕事に興味・関心を持つ方がいましたら、ぜひともチャレンジしてみてください。 *動物応用科学科に限り、食品衛生プログラム履修者のみ取得可能

学びのツール

f_suzuki03_.jpgやはり自ら購入した一眼レフに、多くの思い出が詰まっています。学内のイベントで食品生命科学科のメンバーを撮影し学科公式SNSに画像提供するなど、学科のメディア配信に少しは貢献できたと思います。