麻布大学

卒業生メッセージ(ウェブ版)

基礎から専門までしっかり学べ、検査技師としての礎を築いた

臨床検査技師
東京医科大学八王子医療センター 中央検査部 生化学検査担当 池谷 修平
2018年卒業/山梨県立谷村工業高等学校出身(取材:2022年2月)

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検査技師の業務を支えてくれる学生時代の学び

 私は現在、患者さんの血液や尿を用いて、肝臓・腎臓の機能、糖尿病などの検査を行う生化学検査室に所属しています。ここでの仕事はただ検査を行えばいいというものではなく、正しい検査結果を素早く医師など診療側へ届けることが求められるため、検査項目に関する知識や測定原理、精度管理の知識が不可欠です。例えば機器の不具合で異常値が出た場合や、非特異反応、プロゾーン現象など、臨床検査技師だからこそ気づける検査数値の特異的な推移に関しても、検査の背景にある生命現象の知識を生かして素早く感知し、診療側へ届けることを大切にしています。
 仕事をするようになって振り返ってみると臨床検査技術学科の講義では、現在の仕事にも役立つような原理的な知識を大切に学ぶことができたと感じています。また、それだけではなく、その原理のさらに土台となる数学や生物、化学の知識もしっかりと身につけることができたため、新しく学ぶことの意味を一つひとつ理解しながら、常に学問に興味を持ち前向きに学ぶことができました。例えば血中のナトリウムやカリウムなど電解質を調べる血液検査では、違和感のある検査結果が出てくれば、装置の電極異常を疑います。しかし正直にいえば、学生のころはそこまで広い視野を持つことができず、検査装置を疑うことはありませんでした。実際のところ装置の使い方さえわかっていれば、検査の手技自体を行うことはできると思います。
 しかし、医療に携わる臨床検査技師として重要なのは、検査結果に違和感があればどこにその原因があるのかを推測し検査装置や手法を見直したり、情報とともに結果を診療側へフィードバックしたりすることです。疑念の残る検査結果を早期に見いだし、それが機器の不調によるものなのかあるいは患者さんの状態によるものなのかを見極めて、業務を遂行することが私たちには求められます。私も麻布大学の講義でしっかりと基礎知識を身につけ検査の背景にある測定原理なども知っているからこそ、そうした知識とこれまでの経験を生かして質の高い仕事を行うことができています。

友人同士のつながりが強く、卒業後も交流が継続

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 大学では一からわかりやすく、また実習で実際の検査機器を扱ったりして、私たちの関心が高まるように教えてくれたため、臨床検査の領域にどんどん興味を持って専門性を高めていく勉強をすることができました。また少人数の学校だったので、クラスの友人同士のつながりが強く、テスト前には自習室で気の合う仲間同士、得意分野を教え合ったりしたのも良い思い出で、先生方も一人ひとりを把握してくれているので、質問しに行くと苦手分野については特にわかりやすく教えてくれるなんていうこともありました。先輩後輩を含め、当時の友人とは今もつながりがあって、学会などで顔を合わせると意見交換したり、仲良く交流させてもらったりしています。卒業後もつながりが深い関係でいられるのも、麻布大学出身者の良い点ではないでしょうか。

麻布大学で培った土台で、今は成長を実感し仕事も充実

 学生時代に実習でしっかりと知識や技術を身につけさせてもらい、またプレゼンテーションの力も伸ばしてもらえたので、今、患者さんに対して糖尿病教室などで指導する際にもその経験が生きているなと感じています。もともと仲間内で話すのは好きでも、多人数の前で話すのはあまり得意な性格ではありませんでした。しかし私が勤める病院は対患者教育に力を入れていることもあり、臨床検査の専門家として、例えば自己血糖検査についての手技や数値の解説など、患者さんに対して話さなければいけない機会があります。そんな際に要点をまとめ、わかりやすく話そうと工夫できるのは、もちろん入職後の先輩方の指導もありますが、大学時代に人前で話すのが苦手だったのを克服できた経験も少なからず生きていると感じています。
 今は仕事を通じて、どんどん専門性を高めていけるのが非常に楽しく、充実した仕事ができています。これからは自分の病院だけではなく、西東京地区の学会などでも後進を指導しながら、もっともっと医療に貢献できるように一緒に成長していくつもりです。今後も大学時代に学んだ知識を基礎に勉強を重ねていきますが、わからないことがわかるようになるのがとても楽しい仕事ですし、臨床検査技師の仕事は多くの患者さんを救う未来につながる仕事だと感じています。

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教育推進センター

m_iketani03.jpg 高校時代に未履修だった理系科目などを個別指導や少人数指導でていねいに教えていただいたり、テスト前の勉強にも活用したりして、苦手意識を持つことなく基礎知識を身につけることができました。