麻布大学

ニュースNEWS

度會さんの卒業研究内容がNatureで紹介されました

10月20日(火)、本学 獣医学部 獣医学科 6年次の度會 晃行さん(伴侶動物学研究室所属)の卒業研究内容が、Natureで紹介されました。

Natureでの紹介内容は、以下のとおりです。


『真社会性を示すハダカデバネズミの従属個体の子育て行動は女王の糞を食べることで促進される』

ハダカデバネズミは、アフリカの地中にトンネルを掘りめぐらせて60-80匹程度の群れで生息しているネズミですが、哺乳類としては珍しく、ハチのような真社会性を示す動物です。
その群れ内では一匹の女王と2-3匹のオスだけが繁殖に関わり、残りはオスもメスも生殖器官が発達せず、従属個体としてトンネル堀りや巣の防御のために働いています。
子育てに関しても特徴があり、子を産んだ女王は授乳はしますが、子を舐めたりなどの他のお世話は子を産まない従属個体が積極的におこないます。

本研究では、この従属個体がどのようにして女王の産んだ子を育てるモチベーションを得ているのかという疑問に関して研究をおこないました。
結果として、従属個体は卵巣などの生殖器官が未発達にもかかわらず、通常は卵巣から分泌されて母性行動を促進するステロイドホルモンの体内レベルが女王の妊娠期に一致して増加し、その後に子の声によく反応するようになることを発見しました。
さらに、ハダカデバネズミでよくみられる糞食に着目し、従属個体に妊娠期の女王の糞を食べさせると子の声によく反応するようになること、また非妊娠期の女王の糞にステロイドホルモンを混ぜたものを食べさせても同様の反応を示すことがわかりました。

これらの結果から、ハダカデバネズミの群れでは、妊娠期の女王の糞を従属個体が食べ、そこに含まれる母性を促すホルモンが作用することで、従属個体は女王の産んだ子の世話をするようになるということが示唆されました。
真社会性を維持するために、昆虫ではフェロモンの関与がよく知られていますが、このようなホルモンの個体間伝達が関わっていることは新たな発見です。
今回明らかとなった研究内容は動物の利他的行動や社会性の進化を考える上でとても重要なものだといえます。

Nature(研究内容紹介ページ)

伴侶動物学研究室