麻布大学

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宮城県の離島・出島にシカが渡っていた

野生動物学研究室
准教授 南 正人


宮城県の牡鹿半島近くに出島という離島があります。牡鹿半島は10年程前からシカが増加し、下層植生(草や幼木)はシカに食べ尽されてしまいました。次世代の木が育たないので、林がだめになる可能性があります。出島にはシカがいないので、以前の牡鹿半島と同じような植生を残しています。

ところが、最近になって、震災で大きな被害を出した出島で復興支援をされている「女川・桜守りの会」事務局長の藤中郁生さんから、出島でのシカの情報をいただきました。5月に一緒に出島を歩き、足跡と角の研ぎ後を見つけました。

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出島シカ

野生動物学研究室の塚田准教授と共に、出島の動物相を研究するためにセンサーカメラを設置したところ、11月3日と11月8日に立派な雄のシカが写りました。5月の調査で、痕跡からシカの存在は明らかでしたが、これで存在が裏付けられ、雄が居るということがわかりました。シカは生息地から、まず雄が広がってゆき、その後メスが広がってゆくと言われています。出島に渡ったシカが雄だけなら植生への影響は限定的ですが、メスが出島に入ったらシカは繁殖して急速に増加し、牡鹿半島と同じような影響が出る可能性が高くなります。今後も調査を続けてゆきたいと思います。(2015年11月30日)

南 正人 准教授のプロフィール

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