麻布大学

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JICA国際協力に参加した卒業生を講師に迎えた「JICA国際協力出前講座」が実施されました

独立行政法人国際協力機構(JICA)は、青年海外協力隊(以下、協力隊)など国際協力の現場を経験した人を講師として学校などに派遣しています。本学ではこの制度(JICA出前講座)を利用して、協力隊に参加した本学卒業生を講師に招き、学生が海外の現状や国際協力について学ぶ機会を年数回設けています。

今年3回目の出前講座は、2019年12月13日(金)16時から本学 獣医学部棟 1階120会議室で、「世界に目を向けよう~若者による国際協力~(青年海外協力隊)」のタイトルで開催されました。講師は、2019年9月までの2年間、獣医・衛生の職種でボリビアに派遣された田中 真理子さん(2007年 獣医学部卒)で、30人を越す学生、教職員が約2時間のボリビア報告に耳を傾けました。

田中さんは、大学卒業後鹿児島、栃木で約10年間獣医師としての経験を積んだ後、大規模畜産経営を見たいと海外に行く事を考えたそうです。費用、安全面を考慮して協力隊に参加することにしたと、協力隊参加の動機と経緯を話されました。ボリビア第2の都市サンタクルス市の北、車で1時間程の人口2万人の町・モンテイロにあるAGANORTE(Asociacion de Ganaderos del Norte:サンタクルス県北部畜産協会)の検査室で、乳質の改善、乳房炎対策を中心に、各種検査や担当地区の酪農家の指導などの仕事をされました。ただ、農場主や農場労働者の衛生意識が低く、農場にはゴミが散乱し寄生虫などの発生も多く見られたことから、ゴミやマダニ対策を呼びかけるステッカーを作り農場や職場の薬品販売窓口に貼るなどの活動も行ったそうです。受精卵移植講習の講師を務めて好評だったお話しもされました。

ボリビアでは日本では見られない寄生虫や疾病も多く、研究者にとって興味深い地ではあるが、農場主達の衛生面や寄生虫、疾病への関心が低い事が、畜産、酪農業においての課題であり、今後も日本などの協力が必要であると指摘されました。

参加者からは、ボリビアで最も心配だったこと、苦労したこと、そして活動のやりがいなどに関する質問があり、田中さんは一つ一つ丁寧に答えて下さいました。講演終了後にも、出席できなかった学生達と夕食を共にしながら、ボリビアでの経験を熱心に話して下さいました。

参加者へのアンケートでは、日本との環境の違い、衛生面での課題など、海外での生活に不安を感じつつ、「実際に海外に行った方の話を聞いて、行ってみたいという気持ちが高まった。具体的に将来について考える参考になった。」、「現地でのことを良い面、悪い面を含めて率直に聞くことが出来、より関心が強まりました。」、「獣医師としてどのように世界貢献できるかを知ることが出来ました。」といった、国際協力や海外での仕事に前向きな意見が多く見られました。

JICA青年海外協力隊体験者報告内容(PDF:5.79MB)