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プレスリリース「麻布大学と北陸テクノ、シリカ配合飼料開発を目指して共同研究を開始。シリカで育てると養殖魚、食肉、鶏卵がおいしくなる?」

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麻布大学の生命・環境科学部、食品生命科学科は、北陸テクノ株式会社(本社:富山県射水市、社長:釣 雅広)との産学連携により、植物由来シリカ(二酸化ケイ素)*1を飼料に活用して食品のおいしさを向上させる共同研究を開始します。本共同研究は、経済産業省中小事業庁の補助事業に「もみ殻循環プロジェクト」が採択されたことによる産学連携活動です。

今回の共同研究では、もみ殻*2の燃焼を最適化することで得られる植物由来の高品質シリカ灰を添加した配合飼料を利活用することで、養殖魚、食肉、鶏卵などの食味や機能性の向上を目指します。第一弾として、北陸テクノ株式会社のもみ殻処理炉で生産されるシリカ灰を飼料に配合することにより、鶏や養殖魚など食品の味の付加価値化を試みます。

本学食品生命科学科は、養殖魚や産業動物のシリカ灰配合飼料の開発および食品科学的評価を担当します。また、北陸テクノ株式会社は自社開発のもみ殻専用大型燃焼炉の特性を生かし、高品質な植物由来シリカ灰を産出・供与します。

同学科の学科長良永裕子教授(食品分析化学研究室)を中心とする研究グループが、鶏肉や鶏卵など食品の味とケイ素との関連性について、国内で先行して研究を進めています。これまでに、鶏関連企業の協力を得て、シリカ配合飼料により鶏肉・鶏卵の味の向上や機能性成分増加などが認められることを明らかにしてきました。ブロイラーに出生直後からシリカ(ケイ酸ナトリウム)水溶液を飲み水に加えて飼育したところ、シリカを投与しない群(対照群)に比べ、ササミ肉のうま味や甘味の遊離アミノ酸、さらに機能性成分のアンセリンが増加することなどが示されました。同様に産卵鶏にシリカを給与することで、卵黄中のうま味が向上するなどの結果を得ています。

北陸テクノは、2011年度から同社の本社所在地である富山県射水市が推進するバイオマスタウン構想*3に加わり、もみ殻を循環利用するバイオマスビジネスに取り組んできました。その一環として新たに開発したもみ殻専用の大型燃焼炉は、燃焼温度を厳密に制御することで再生可能エネルギーと高品質な植物由来シリカ灰を産出可能です。シリカ灰の活用先を広げることでSDGsを推進し、地域資源のさらなる循環に取り組んでいます。

*1 ケイ素は骨密度の維持、コラーゲン形成等に関わるなど、生体の微量必須元素として知られている。また近年、健康食品、化粧品などの分野でシリカの有用性が注目を集めている。

*2 もみ殻は国内で年間200万トン発生します。約20%(重量比)ものケイ素化合物(シリカ=SiO2)を含み、燃焼灰として残るため、廃棄物量の削減や有効活用が課題になっている。

*3 域内において、広く地域の関係者の連携の下、稲わら、家畜排泄物、林地残材などのバイオマスの発生から利用まで効率的なプロセスによる総合的な利活用システムを構築し、安定的かつ適正なバイオマスの利活用の実現を目指すもの。内閣府など1府6省が連携したプロジェクト。

<参考情報>
●麻布大学 生命・環境科学部 食品生命科学科について
 食品生命科学科は、3つの学び「食の情報」「食の機能」「食の安全」を軸として食の専門家教育を行っています。食に関する情報の収集解析に必要なスキル(食のデータサイエンス)を身につけ、食の機能と食の安全に関する知識と経験を実践に生かすことができます。3つの分野から自分の「やりたい!」を通して、人と社会の健康に貢献する人材を育てます。法律で義務化されたHACCPによる食品衛生管理について、食品安全マネジメント協会(JFSM)による承認を受けた食品安全研修の修了証を在学中に取得できる国内唯一の4年制大学です。
食品生命科学科 特設サイト

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・担当:麻布大学 広報課 有嶋・檜垣
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