麻布大学

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麻布大学における生成系AIの利用について

学生・教職員 各位

麻布大学における生成系AIの利用について

学長 川上 泰

 近年台頭してきた生成系AI(ChatGPT等)の技術は、これからの人間社会の在り方を大きく変えるものです。生成AIの利用によって労働生産性が上昇するものの、3億人のフルタイム雇用に相当する仕事を自動化することで、働き方も大きく変わるといわれています。また、これは「飛躍的な経済成長」という言葉で想起される18世紀後半の産業革命を超えるといわれています。今後、学生のみなさんは生成AIの利用を前提とした社会で働くことになります。また教職員のみなさんもAIの利用による抜本的な働き方改革に対応いただくことになります。このように生成系AIの登場により、本学における教育研究に新たな付加価値をもたらす可能性がある一方、生成系AIの極端な依存による思考放棄や倫理的問題が発生するリスクがあります。このような時代において皆さんは改めて本学における建学の精神「学理の討究と誠実なる実践」に立ち返り、次のことを心にとどめ、生成系AIを活用してください。

生成系AI使用に当たっての心構え

1.生成系AIを活用しながら、本学の学びや業務へ発展的に活用する。

 生成系AIは、単なる情報のソースとしてではなく、対話やフィードバック、プロファイリングを通じた学修や自己研鑽の深化を促す可能性を秘めています。生成系AIの特徴と性能的な限界についてよく理解するとともに、最新の生成系AIに係る情報を積極的にキャッチアップし、より有効な学修環境の構築、業務効率化に努めてください。

2.生成系AIから出力された回答を事実として扱わない。

 生成系AIは、大量のデータに基づき、質問に対する「最もらしい」回答案を予測する技術であり、絶対的な情報ソースとはなり得ないことを十分に理解してください。

3.生成系AIはあくまでツールであり、最終的な判断は自らが下す。

 生成系AIは、人間らしく振舞いますが、感情を持たず、生成したデータに対し、責任を取ってくれません。皆さんは、生成系AIを有効に活用しつつも回答を鵜呑みにはせず、自らの経験や学修に基づく適切な判断を下してください。

4.生成系AIが意図せず出力した全ての差別と偏見に注意する。

 生成系AIは、開発者の努力により、世界に存在する差別と偏見を助長しないように調整されているものの、完璧ではありません。皆さんが生成系AIが出力した内容に誰かを傷つける可能性があることを十分に留意し、自らの良心・良識に基づき使用してください。

5.生成系AIへの問いかけは、世界に共有されるというリスクを理解し、個人情報などのデータアップロードは絶対に行わない。

 ChatGPTなどの生成系AIに入力したデータは、AIの学習に用いられ、他者からのプロンプトを通じ全世界に公開されるおそれがあります。生成系AIにデータをアップロードする前に必ずそのデータが全世界に公開されてしまったとしたら、どのような不利益が発生するか、自らよく考えた上で使用してください。

6.生成系AIを学修の努力を放棄するための道具に使わない。

 本学で課すレポート、学位論文、業務上の報告書などは、専門的な知識を身に付けるためだけにあるわけではなく、皆さん自身の科学的な思考や論理的思考、倫理観を育むために実施されています。どうか、思考を放棄するために生成系AIを利用するのではなく、より深い考察や学修の効率化を目指し、生成系AIを活用してください。

 学生の皆さんは、獣医学、獣医保健看護学、動物応用科学、臨床検査技術学、食品生命科学、環境科学のそれぞれの分野における専門性を高め、得られた能力を実社会で活かすため日々教育研究に取り組んでいます。また、本学の教職員の皆さんは、養成する人材像に向けて日々、本学の教育研究基盤を支えています。今後の社会を考えると、生成AIはなくてはならないものになります。しかし、生成系AIはあくまでツールの一つであり、本学の教育や研究を覆すものではありません。また生成系AIが社会に浸透していくことで人が実際に手を動かし、知識や経験を用いて果たすべき役割が明確化されてくることでしょう。ぜひ、本学での学びをベースとして、それぞれの分野で生成系AIを使いこなせるような社会から求められる人材となってください。

 なお、生成系AIの具体的な使用に当たっては、教育・研究上の留意事項として学内に向けて周知を図るととともに、大学教育推進機構を中心にFD(ファカルティ・ディベロップメント)やSD(スタッフ・ディベロップメント)を実施し、授業における実践的な活用や研究における配慮など、組織的に公開をしていきます。