麻布大学

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人の歯科医療技術を獣医療に活用、大学間連携でゼニガタアザラシの歯科治療を支援

麻布大学は、新江ノ島水族館の獣医師から寄せられたゼニガタアザラシの歯科治療に関する相談をきっかけに、神奈川歯科大学と連携し、人の歯科医療で培われた技術や知見を活かした治療支援を行いました。

青森県浅虫水族館で飼育されているゼニガタアザラシ「静」
ゼニガタアザラシの「静」

獣医学部獣医保健看護学科の島津德人教授は、青森県浅虫水族館で飼育されているゼニガタアザラシ「静(シズ)」の歯科疾患について、共同研究を行っている新江ノ島水族館の白形知佳獣医師から相談を受けました。

「静」には下顎の炎症が認められており、白形獣医師によるX線検査などから、専門的な歯科処置が必要と判断されました。相談を受けた島津教授は、歯科医学の専門的な知識と技術が必要と考え、本学と連携関係にある神奈川歯科大学に相談し、水族館獣医療と歯科医学の専門家との橋渡しを行いました。その後、浅虫水族館を中心として関係機関による治療体制が構築され、2026年8月、ゼニガタアザラシ「静」に対する抜歯手術が実施されました。

大学・水族館・行政・企業が集結した多施設・多職種連携による動物手術は、国内でも非常に珍しい取り組みであり、動物の生活の質(QOL)向上と学術・社会貢献に大きく寄与する成果といえます。

麻布大学島津教授と医獣連携チーム

麻布大学のネットワークを動物医療へ

海棲哺乳類の難治性疾患の外科的治療は、動物の麻酔・全身管理だけでなく、歯や顎の解剖、歯科処置などに関する専門的な知識と技術が必要となります。そのため、一つの施設だけで実施することが極めて困難です。本学の島津教授は、症例に必要とされる専門性を検討したうえで、神奈川歯科大学との大学間連携を活用し、歯科医学の専門家を交えた治療体制の構築を進めました。さらに、全国の水族館、行政機関、医療機器メーカーへも協力を呼びかけ、各分野の専門性を結集したチームを構築しました。

専門分野を越えた連携による治療

手術では、徹底した生体管理のもと、歯科医学の専門的な知識と技術で骨切削を伴う抜歯処置を行いました。計4本の抜歯と病巣部の処置が行われ「静」の術後の回復は良好です。本学は今回の取り組みにおいて、専門家・専門機関をつなぐ役割を担うとともに、病理・細菌学的な解析にも携わりました。

ゼニガタアザラシ「静」のオペ

教育・研究で築いた連携を社会へ

今回の取り組みは、一つの施設や専門分野だけでは対応が難しい課題に対して、本学が持つ研究・教育ネットワークを活用し、必要な専門家をつなぐことで、実際の動物医療につながった事例です。本学では、多職種連携で得られた知見やネットワークを今後の教育・研究活動に活かし、動物医療の発展と動物福祉、社会貢献につなげてまいります。
手術の詳しい経緯や各連携機関の役割などの詳細は、浅虫水族館のホームページをご覧ください。

<参考情報>

浅虫水族館ホームページ:
ゼニガタアザラシ「静(シズ)」治療プロジェクト― 野生研究から医獣連携へ、そして新たな水族館医療の未来へ ―