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マゼランペンギンの水中利用行動と足部健康状態をデータロガーを用いた長期継続記録で明らかに

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※本動画は研究内容を分かりやすく紹介するための補助資料です。
音声の読み上げやイラストには、一部正確でない箇所が含まれます。
詳細は掲載論文をご参照ください

麻布大学獣医学部動物応用科学科の山本誉士准教授、すみだ水族館および名古屋大学による共同研究の成果が、国際学術雑誌「Zoo Biology」に掲載されました。

すみだ水族館のマゼランペンギンが水中で過ごす時間には大きな個体差があることを確認

すみだ水族館のマゼランペンギン本研究では、すみだ水族館で飼育されているマゼランペンギン23個体を対象に、小型データロガーを用いて、個体ごとのプール利用行動を長期間にわたり継続的に記録しました。その結果、群れ全体としては主に日中にプールを利用する傾向がみられた一方で、水中で過ごす時間には大きな個体差があることが明らかになりました。

群れ全体では、1日のうち水中で過ごす時間の平均は35.2%でした。しかし、個体ごとにみると、その割合は20.4%から70.1%まで大きく異なっていました。この結果は、同じ環境で飼育されているペンギンであっても、プールの利用のしかたには個体によって大きな違いがあることを示しています。飼育動物の行動や健康状態を把握する際には、群れ全体の平均的な傾向だけでなく、一羽一羽の行動特性にも目を向けることが重要です。

日常的に水中で過ごす時間が長い個体ほど趾瘤症(※)と診断された回数が少ない傾向

また、本研究では、水中利用行動と、飼育下のペンギンで重要な健康課題の一つである趾瘤症(しりゅうしょう)との関連についても検討しました。趾瘤症を経験した個体の中では、日常的に水中で過ごす時間が長い個体ほど、趾瘤症と診断された回数が少ない傾向が認められました。趾瘤症は、足裏への持続的な負担などが関係する疾患です。本研究の結果は、ペンギンの水中利用行動を継続的に把握することが、足部の健康状態を理解し、より良い飼育管理を検討する上で役立つ可能性を示しています。

<本研究の意義>
動物園や水族館では、群れで飼育される動物の行動を、個体ごとに長期間観察することは容易ではありません。特にペンギンのように、多数の個体が同じ展示空間で生活し、水中と陸上を行き来する動物では、目視観察だけで一羽一羽の行動を継続的に把握することには限界があります。本研究では、小型データロガーを用いることで、ペンギン一羽一羽のプール利用行動を長期間かつ継続的に記録することができました。これにより、群れ全体の平均値だけでは捉えにくい個体差を明らかにするとともに、水中利用行動と足部の健康状態との関連を検討することが可能となりました。

今回の成果は、飼育動物の福祉をより適切に評価するためには、個体ごとの行動特性やその変化を考慮することが重要であることを示すものです。今後、こうした継続的な行動モニタリングを活用することで、個々の動物の状態に応じた健康管理や、より良い飼育環境の検討につながることが期待されます。

<用語説明>
(※)趾瘤症(しりゅうしょう)
鳥類の足裏に生じる疾患で、英語では「bumblefoot」または「pododermatitis」と呼ばれます。足裏に繰り返し圧力や摩擦などの負担がかかることで、皮膚に炎症や傷が生じ、腫れや潰瘍などがみられることがあります。さらに、傷ついた部位に細菌感染を伴うと、症状が重くなる場合もあります。飼育下のペンギンでは重要な健康課題の一つであり、床面の状態に配慮することや、足裏への負担を軽減するような飼育管理を検討することが重要です。

<論文情報>
論文名:Diving Into Diversity: Considering Intra-Specific Variation in Water Immersion Activity of Aquarium-Housed Magellanic Penguins
掲載誌:Zoo Biology
著者:Takashi Yamamoto, Daiki Adachi, Tomohiro Kakizaki, Yukari Takashima, Hiroe Tsunesumi, Ken Yoda
DOI:10.1002/zoo.70072
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/zoo.70072

<解説動画>
ペンギンたちの隠された生活
※(文頭の動画と同様のものになります)本動画は研究内容を分かりやすく紹介するための補助資料です。音声の読み上げやイラストには、一部正確でない箇所が含まれます。詳細は掲載論文をご参照ください。