【論文】気管の腫瘍と心奇形が同時に発症した世にも珍しい子牛
主な研究者:
獣医学部 教授 山田 一孝
気管の腫瘍と心奇形を同時に発症した珍しい子牛に遭遇しました.この子牛は,ゼイゼイと呼吸する症状を主訴に入院しました.X線と産業動物専用のCTと内視鏡で検査したところ,喉に腫瘤があることがわかりました.呼吸器症状を改善するために,手術をして腫瘤を摘出しました.病理組織検査(顕微鏡で病気を診断する検査)を実施した結果,人の赤ちゃんに発生することがある「乳児血管腫」という珍しい腫瘍でした.
また,CT検査と超音波検査で,心臓の冠動脈と右心室がつながっている「冠動静脈瘻」という心臓の奇形があることもわかりました.「乳児血管腫」と「冠状動脈瘻」はどちらも血管の発生に関連する病気なので,共通の原因があるのではないかと仮説をたてました.遺伝子解析を行った結果,血管の発生に関わるいくつかの遺伝子に変異がありました.
このことから,気管の腫瘍と心奇形が同時に発症したことは,遺伝子変異が原因である可能性が示唆されました.こうした症例研究から,珍しい病気のしくみや発生の原因を追及することができます.
将来,似たような症例に遭遇したときに,この研究の知見が診断の役にたちます.そればかりではありません.症例報告は,病気を適切に診断したり,病気のメカニズムを解明することで病気を予防することにつながり,最終的には畜産物の生産性向上を図ることに貢献します.
論文タイトル:
A calf with concurrent infantile hemangioma and coronary artery fistula: notes on simultaneous onset
論文掲載URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/88/4/88_25-0440/_article
DOI:
https://doi.org/10.1292/jvms.25-0440








