希少種にもたらされる河川開発の影響を、
野外と研究室で追究
希少種にもたらされる河川開発の影響を、
野外と研究室で追究
早津 栄里
新潟県立高田高等学校出身

高校時代から温めていたフィールドワークへの思い
私は幼いころから自然が大好きでした。故郷の新潟は緑豊かで、山や川で思いっきり遊んだ記憶が残っています。振り返ると非常に恵まれた自然環境の中、のびのびと遊び、すくすくと育ったように思います。私の家族も自然とのかかわりを好み、みんなで野山へ頻繁に出掛けていました。お隣の富山にも出向き、化石の発掘に興じたことも忘れられません。
常に自然を身近に感じながら暮らしていただけに、学校で興味を持った科目は「理科」でした。高校に上がると、一番好きな科目は「生物」になりました。当時もっとも関心を寄せた対象は、ハチやアリなどの「社会性昆虫」です。ごく小さい生き物ながらも群れの中に女王や働き手といった階層を設け、仲間を守るためそれぞれの役割を果たしていることに畏敬の念を抱きました。こうした自然の神秘も含めて大学で専門的に学び、実際に現場へ出向いて調査をしてみたいと考えていました。
元々興味を持っていた自然環境について深く、楽しく学びたいと考えており、大学選びで見つけたのが麻布大学の環境科学科でした。入学試験を受けに本学を訪れた際、キャンパス内には馬場があり、そこでのんびりと歩くポニーに思わずくぎ付けになりました。そして入学後は、高校時代から温めていた「フィールドへ出掛けたい!」という思いが湧き上がり、部活動は「野鳥研究部」に所属して好きな鳥を追い掛けていました。
知床半島で希少な水鳥の生態調査に取り組む
部活動を通して野鳥観察に没頭していたことも相まって、研究室は「環境生物学研究室」を選びました。環境生物学研究室では、3つの専門を柱に研究活動を行っています。1つ目は衛生動物学に基づく研究です。2つ目は寄生虫学に基づく研究、そして3つ目が保全生物学に基づく研究となっています。私が関心を持ったのは、さまざまなフィールドに出向き、希少な野生動物や外来生物の調査を行う保全生物学に関する研究で、卒業研究では北海道の知床半島において希少な水鳥の生態調査に取り組みました。
研究室以外にも、フィールドワークの授業は充実していました。「生物多様性フィールドワーク演習」の授業では、島根県にある「フィールドワークセンター」を拠点に、野生動植物の調査方法について学びました。中でも、イノシシによる農作物被害に関する話が心に刺さりました。それは「人間の都合でイノシシなどを『害獣』と呼ぶだけで、そもそも害獣という生き物は存在しない」という趣旨です。農作物が荒らされるそもそもの状況を生み出したのは、私たち人間です。翻って、卒業研究の調査地としていた知床でヒグマと人の関係性について考える機会があったのですが、ここ島根で「人と野生動物がそれぞれのテリトリーを守って暮らせば共生できるはず」と再認識しました。
自主的な学生をしっかりサポートする環境がある
卒業後は、環境における調査や分析を行う会社でコンサルタントとして従事します。この会社では自然環境の調査を行っており、大学時代にフィールドワークの楽しさを知った私としては、とても魅力的に感じました。就職活動を成功させる上では、本学の「就職相談室」が役立ちました。就職相談室には「就職相談員」が在籍し、いずれの方々も豊富な経験と相談実績をお持ちで、親身になって話を聞いてもらえます。私は相談員の方にエントリーシートを添削していただいたほか、面接をシミュレーションしていただきました。徹底したご指導のおかげで、より伝わりやすい自己PRになったと思います。
また、環境科学科では、社会で役立つさまざまな資格を取得できます。授業を履修することで得られる資格もあり、私は「労働安全衛生法」に基づく国家資格「第一種衛生管理者」の資格も取得しました。本学科には環境に関するさまざまな学びがありますが、働く人たちの「環境」を守ることも学び、学びを通した国家資格も修得することができます。
就職や資格取得に限りませんが、学生が自ら動けば動くほど、それを支えてくれる環境が本学にはあります。先生をはじめ大学職員のみなさんからのサポートがあり、希望を実現する道筋となり得るネットワークも充実しています。ぜひ本学でアクティブに行動し、自分が望む大学生活を過ごしていただきたいです。