麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

犬の再発鼻腔腫瘍に対する反復的な従来型小分割放射線治療の臨床成績と予後因子

主な研究者:
獣医学部 准教授 圓尾 拓也

この研究では、犬の鼻腔内腫瘍(鼻の中にできる腫瘍)が再発した際、再び放射線治療を行うことで、どのような効果があるかを調べました。​特に、最初に短期間で高い放射線量を与える「低分割放射線治療」を受けた犬に対して、再度同様の治療を行った場合の効果を検討しました。​
2008年から2022年までに麻布大学動物病院で治療を受けた30頭の犬の記録を分析しました。​そのうち20頭は腺癌というタイプの腫瘍でした。​11頭は2回目の再照射を、5頭は3回目の再照射を受けました。​最初の治療後、腫瘍が再び大きくなるまでの期間の中央値は315日で、全体の生存期間の中央値は504日でした。​副作用としては、脱毛や白髪、白内障などが見られましたが、いずれも重度ではありませんでした。​
再照射を1回だけ受けた犬と、2回以上受けた犬を比較すると、再照射を複数回受けた犬の方が生存期間が長い傾向がありました。​ただし、これはすべての犬に当てはまるわけではなく、腫瘍の種類や治療への反応によって異なる可能性があります。​
この研究は、再発した鼻腔内腫瘍に対して再び放射線治療を行うことで、生存期間を延ばす可能性があることを示しています。​特に、若くて最初の治療に良好な反応を示した犬にとっては、有望な治療法となるかもしれません。

論文タイトル:
Clinical outcomes and prognostic factors of repeated conventional hypofractionated radiotherapy for recurrent intranasal tumors in dogs

論文掲載URL:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11974295/

DOI: 10.5455/OVJ.2025.v15.i2.32