麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

【論文】遺伝子数を増やすと弱くなる?D型インフルエンザウイルスの研究から得られたワクチン開発の新しいヒント

主な研究者:
獣医学部 助教 石田 大歩

この研究では、牛を中心に感染が広がるD型インフルエンザウイルス(IDV)について、その「遺伝子の数」を人工的に増やすという新しい試みに挑戦しました。

IDVは本来7本の遺伝子を持っていますが、そのうち「M遺伝子」と「NS遺伝子」は、1つの遺伝子から2種類のたんぱく質を作る特別な仕組みになっています。研究者たちは、その遺伝子をあえて2本に分け、全体の遺伝子数を8本や9本にしたウイルスを人工的に作製しました。実験の結果、遺伝子を8本や9本に増やしたウイルスも、細胞に感染し、増殖することが確認されました。このことから、IDVは本来より多い数の遺伝子をウイルス粒子の中に取り込むことができる、ある程度の柔軟性を持っていることが分かりました。一方で、遺伝子を増やしたウイルスは、元のウイルスと比べて増える力が大きく弱くなっていました。特に9本にしたウイルスは、さらに増える力が低下していました。これは、遺伝子の数が増えることで、ウイルスがうまくすべての遺伝子をまとめて粒子に詰め込めなくなり、感染性を持たないウイルス粒子が増えたためだと考えられます。

この研究によって、IDVがどのように遺伝子をまとめてウイルス粒子を作っているのかという仕組みに新しいヒントが得られました。また、増える力が弱くなったウイルスは、安全なワクチンとして利用できる可能性があります。今回作製した遺伝子数が8本や9本のIDVは、ウイルスの仕組みを詳しく調べるための研究ツールとしても、新しいワクチン開発の手がかりとしても重要な成果です。

論文タイトル:
Development of an influenza D virus with an eight- or nine-segment genome

論文掲載URL:
https://www.nature.com/articles/s41598-025-34838-y

DOI:
https://doi.org/10.1038/s41598-025-34838-y