クリプトスポリジウム症による食道胃重積に対しパロモマイシンで治療を行ったコーンスネーク(Pantherophis guttatus)の一例
NEW獣医学部
2025.06.06
主な研究者:
獣医学部 教授山田 一孝
この研究では、3歳の飼育下のコーンスネークが体の腫れを訴えて動物病院に来院した症例について報告しています。レントゲン検査で軟部組織の腫れが確認され、超音波検査では消化管の腸重積(腸が入り込んでしまう状態)が確認されました。その後、手術で食道と胃が重積した部分を整復しました。胃粘膜の病理組織検査と便のPCR検査により、病変部位に原虫が寄生しており、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium spp.)の特定の遺伝子が検出されました。
手術後の治療として、パロモマイシンを1日1回、10日間、そしてその後は週に2回、90日間投与し、厳密な衛生管理の下で治療を行いました。その結果、ヘビは良好な健康状態を保ち、手術から752日後のPCR検査と超音波検査では、クリプトスポリジウム感染の証拠は見られませんでした。
この研究は、コーンスネークにおける消化管の腸重積とクリプトスポリジウム症の治療に関する新しい知見を提供しており、適切な治療が行われれば、症状が回復し、再発を防ぐことができる可能性を示唆しています。
論文タイトル:
Treatment of esophagogastric intussusception due to cryptosporidiosis using paromomycin in a corn snake (Pantherophis guttatus)
論文掲載URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/87/4/87_24-0483/_article/-char/ja
DOI:
https://doi.org/10.1292/jvms.24-0483