麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

非視覚型光受容体をコードするOpsin 3はウシにおいて偽遺伝子である

主な研究者:
獣医学部 教授 恩田 賢

この研究では、「OPN3(オプシン3)」という光を感じ取るタンパク質がウシでどのような働きをしているかを調べました。OPN3は眼以外の組織でも光を感じて働くことが知られており、たとえばマウスでは脂肪細胞が青い光を浴びると熱を作るのに関わります。しかし、ウシなどの草食動物でこのタンパク質の働きはわかっていません。

この研究では、ウシの身体中の様々な組織の(精巣や胎盤など)でOPN3遺伝子の発現を調べました。その結果、ウシではOPN3の遺伝子の発現が認められず、実際にタンパク質を作るための情報が途中でなくなってしまっている(ストップコドンがある)ことがわかりました。つまり、ウシではOPN3の遺伝子が「偽遺伝子(=使われていない遺伝子)」になっていると考えられます。

このことから、ウシだけでなく、ヤギなどの動物でもOPN3が存在しない可能性が高く、進化の過程でこの遺伝子の機能を失ったと考えられます。

論文タイトル:
Opsin 3, encoding a non-visual photoreceptor, is a pseudogene in cattle

論文掲載URL:
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0034528825000608

DOI:
https://doi.org/10.1016/j.rvsc.2025.10558