【論文】免疫細胞の数がカギ!犬の口のがん治療の効果を予測
主な研究者:
獣医学部 教授 高木 哲
この研究は、犬の口の中にできる悪性腫瘍「口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)」に対して行われる免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を用いた治療が、どの犬に効果が出やすいのかを調べたものです。
この治療は犬自身の免疫の力でがんを攻撃する方法ですが、すべての犬で効果が出るわけではありません。 研究では、治療前に採取した腫瘍の組織を顕微鏡で調べました。実は腫瘍の中には様々な役割を持った免疫細胞が存在しています。
今回は、①がんに対する免疫の主役であるT細胞、②がん細胞を直接攻撃する能力が高い細胞、③がんに対する免疫を抑制する働きを持つ細胞に着目し、それぞれが腫瘍組織内にどれくらい存在しているのかを調べました。 その結果、攻撃型の免疫細胞が腫瘍組織内に多く存在している犬ほど、がんの進行が遅く、生存期間も長いことが分かりました。
また、単に各細胞の数が多いだけでなく、攻撃する細胞と抑える細胞の「バランス」も、治療の効果を左右する重要な因子であることがわかりました。
この研究から、治療前に腫瘍組織内の免疫細胞の特徴を調べることで、ICI治療が効きやすい犬を予測できる可能性が示されました。 将来的には、一頭一頭の犬に合わせた最適な治療法の選択が可能になるかもしれません。 また、犬の腫瘍は人間のがんと性質が非常によく似ていることが知られています。 今回の研究で得られた結果は、犬のがん治療をより効果的にするだけでなく、人のがん研究にも役立つ重要な発見です。
論文タイトル:
Prognostic Significance of Tumour Infiltrating Lymphocytes in Canine Oral Malignant Melanoma Treated With Anti-Programmed Cell Death Ligand 1 (PD-L1) Antibody Therapy
論文掲載URL:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/vco.70052
DOI:
https://doi.org/10.1111/vco.70052








