【論文】免疫を担う細胞のひとつである樹状細胞を、ゲノム編集法を利用してよりワクチン療法やワクチン開発に利用しやすくするための、導入剤に関する研究
主な研究者:
獣医学部 准教授 岡本 まり子
この研究は、ゲノム編集法という遺伝子を正確に書き換える技術に必要な要素を、細胞の中にうまく届ける方法について研究しています。ゲノム編集法はいくつかの方法がありますが、CRISPR-Cas9法という方法が広く基礎研究および臨床研究分野で利用されています。CRISPR-Cas9法はとても便利な技術ですが、これを行うのに必須の要素(RNP複合体)を実際に細胞の中へ、特に樹状細胞内に運ぶのが難しいという課題がありました。 研究グループは以前にタンパク質やDNAを細胞の中へ運ぶ働きがある物質「VP-R8」を作製しました。
そこで、CRISPR-Cas9法に必要な「ガイドRNA」と「Cas9タンパク質」をセットにしたもの(RNP複合体)を、VP-R8を使ってマウスの樹状細胞に入れる実験を行いました。 その結果、VP-R8を使うと、対照の導入剤よりも効率よく細胞内に取り込まれ、実際に遺伝子を書き換えることにも成功しました。また、炎症を引き起こす反応がほとんど起きないことも確認されました。
この研究から、VP-R8は安全かつ効率よく遺伝子編集ツールを細胞に届けられる導入剤として期待されます。特に免疫調節に重要な働きをする樹状細胞を改変することで、ワクチンの仕組み解明や新しい治療法の開発につながる可能性があります。
論文タイトル:
Evaluation of a d-octaarginine-linked polymer for CRISPR-Cas9 ribonucleoprotein (RNP) delivery and genome editing in murine dendritic cells
論文掲載URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/88/3/88_25-0334/_article
DOI:
https://doi.org/10.1292/jvms.25-0334








