麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

【論文】神経が炎症を止める!? 腸で起こる"神経と免疫の会話"

主な研究者:
獣医学部 講師 梶 典幸

この研究は、腸の中にある免疫細胞(マクロファージ)と神経が、どのように協力して炎症を調整しているのかを調べたものです。腸には「交感神経」という神経が通っており、免疫細胞の近くに存在していますが、その関係はよく分かっていませんでした。

研究では、細菌の成分(LPS)を使って炎症を起こし、神経から出る物質「ノルアドレナリン」がどのように影響するかを調べました。その結果、免疫細胞にはいくつかの受け取り口(受容体)があり、その中でもβ1やβ2という受容体が刺激されると、炎症反応が抑えられることが分かりました。

一方で、別の受容体(α2)では逆に炎症が強くなることも確認されました。また、神経の働きを一部止めると、炎症が強くなることも分かりました。

このことから、交感神経は腸の免疫細胞に働きかけて、炎症を抑えるブレーキの役割をしていると考えられます。これまで炎症のブレーキとしてβ2受容体が着目されていましたが、β1受容体も重要である可能性が新たに示されました。この研究は、腸の病気の仕組みを理解するだけでなく、将来の新しい治療法につながる可能性があります。

論文タイトル:
Sympathetic Norepinephrine Modulates Inflammatory Activation in Intestinal Muscularis Resident Macrophages via Beta1-Adrenergic Receptors

論文掲載URL:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/nmo.70285

DOI:
https://doi.org/10.1111%2Fnmo.70285