麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

【論文】都内の自然再生エリアの水田において「鳥類住血吸虫」による皮膚炎の発生を確認

主な研究者:
生命・環境科学部 講師 坂西梓里

麻布大学、国立健康危機管理研究機構などの共同研究グループは、東京都内の自然再生エリアにある水田において、野鳥に寄生する住血吸虫の幼虫が原因とみられるヒトの皮膚炎の症例を確認し、その原因虫および中間宿主となる淡水貝を特定しました。

都市部における自然再生や環境緑化の取り組みは、都市生態系を支え、生物多様性を向上させています。自然再生エリアに多くの野鳥が飛来するようになった生態系の一端として、2021年、水田で作業をしていた男性が、両脚に激しい痒みを伴う紅斑を発症しました。これは、本来カモに寄生する吸虫であるTrichobilharzia属の幼虫(セルカリア)が、誤ってヒトの皮膚に侵入することで起こる「セルカリア皮膚炎(水田性皮膚炎)」であり、この寄生虫の中間宿主となった巻貝はモノアラガイRadix plicatulaであることを遺伝子解析により実証しました。

ヒトと野生動物の距離が縮まると、動物由来感染症のリスクは必然的に高まります。都市生態系回復プロジェクトが拡大を続ける中で、本研究成果は、今後自然との共生を実現していくためには公衆衛生的な視点からの監視も重要であることを示す、貴重な知見となりました。

論文タイトル:
A human case of cercarial dermatitis and molecular characterization of Trichobilharzia cercariae from Radix plicatula of paddy field in Tokyo, Japan

論文掲載URL:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12890553/

DOI:
https://doi.org/10.3347/PHD.25039