麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

【論文】CTでも見つからない!犬の珍しい肝臓の血管異常

主な研究者:
獣医学部 講師 茅沼秀樹

この報告は、高齢のマルチーズで見つかった非常に珍しい肝臓の血管異常について紹介したものです。この犬は食欲低下、体重減少、水をたくさん飲む症状とふらつきが見られました。血液検査では、肝臓の働きが低下していることや、体に有害なアンモニアが高くなっていることが分かりました。

詳しく調べるためにCT検査を行ったところ、肝臓の中に異常な血流を示す部分が複数見つかりました。しかし、原因となる血管の異常なつながりははっきり確認できず、確定診断には至りませんでした。

そこで手術中に特殊な造影検査を行ったところ、門脈(腸から肝臓へ血液を送る血管)と肝静脈・大静脈(心臓へ戻る血管)の間に、無数の細かい異常血管が存在することが判明しました。この結果から、「多発性肝内門脈体循環シャント(MIPSS)」と診断されました。

この病気では、本来肝臓で処理されるべき有害物質がそのまま全身へ流れてしまい、神経症状や食欲不振を引き起こします。この研究は、CTだけでは診断が難しい場合があり、手術中の詳しい血管検査が重要であることを示した貴重な症例報告です。

論文タイトル:
A canine case of multiple intrahepatic portosystemic shunts

論文掲載URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/88/5/88_25-0550/_article

DOI:
https://doi.org/10.1292/jvms.25-0550