麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

【論文】鉄がたまりすぎる病気(肝臓がん)を防ぐ?体の"鉄調整スイッチ"を探る!

主な研究者:
獣医学部 教授 村上 賢

私たちの体では、鉄が多くなりすぎないように「ヘプシジン」というホルモンが鉄の量を調整しています。鉄が増えすぎると、肝臓でヘプシジンが作られ、体内に取り込まれる鉄の量を減らします。しかし、肝臓のがん細胞ではヘプシジンがあまり作られないことがあり、その原因はよく分かっていませんでした。

そこで研究者たちは、肝臓のがん細胞を使って、ヘプシジンを作るための遺伝子がどのように働いているかを調べました。その結果、遺伝子の周辺にあるDNAの一部に「メチル化」という変化が起きると、ヘプシジンの遺伝子が働きにくくなることが分かりました。また、DNAが強く折りたたまれて隠れた状態になることも、ヘプシジンの働きを抑えていました。DNAのメチル化を取り除くと、鉄の量に反応する仕組みを通して、ヘプシジンの産生が増加しました。

この研究は、DNAの状態を変える「エピジェネティックな仕組み」が、肝臓のがん細胞でヘプシジンが作られない原因の一つであることを示しています。鉄が体内にたまりすぎると肝臓がんのリスクが高まるため、将来、遺伝子の働きを調整してヘプシジンを回復させることが、肝臓がんの予防や治療につながる可能性があります。

論文タイトル:
Epigenetic regulation of the hepcidin gene expression in hepatoma cells

論文掲載URL:
https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/febs.70645

DOI:
https://doi.org/10.1111/febs.70645