麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

【論文】その血液検査の結果、信用できますか? ~イヌの血液を用いた精度管理に最適な試料の作製を目指して~


獣医学部 講師 根尾 櫻子

血液検査の結果が正しいかどうかを確認するために、病院などが同じような血液を測定して結果を比べる「外部精度評価(EQA)」という仕組みがあります。しかし、犬や猫などのペットの新鮮な血液を使ったEQAは、これまで世界的にも行われていません。その理由の一つが、血液を検査するまで安定した状態で保存することが難しいためです。

そこでこの研究では、健康な犬5頭の血液を使い、常温と冷蔵のどちらで保存すると検査結果が安定するかを調べました。血液が固まらないように薬剤を加え、2~72時間後まで、白血球・赤血球・血小板などを自動分析装置で測定しました。

その結果、白血球と血小板は常温で保存したほうが変化が少なく、赤血球に関する値は冷蔵したほうが安定していました。また、保存時間が長くなるほど測定値のばらつきは大きくなりましたが、血液が固まるのを防ぐ「EDTA-2K」を3 mg/mL加えると、ばらつきが小さくなりました。

この研究から、血液を保存する温度や薬剤を工夫すれば、犬の新鮮な血液を使ったEQAを実施できる可能性が示されました。将来、動物病院の血液検査の精度をそろえるために役立つことが期待されます。

論文タイトル:
Evaluation of Time and Temperature Storage Effects on Canine Blood Anticoagulated with Citrate-Phosphate-Dextrose-Adenine Supplemented with Ethylenediaminetetraacetic Acid: Investigation of Optimal Conditions for External Quality Assessment Samples

論文掲載URL:
https://www.mdpi.com/2076-2615/16/14/2170

DOI:
https://doi.org/10.3390/ani16142170