【論文】同じウイルスなのに感染力が違う?牛のウイルスが広がる仕組みを解明!
主な研究者:
獣医学部 准教授 村上 裕信
牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)は、牛に感染して病気を引き起こすことがあり、世界の畜産業に大きな経済的負担を与えています。BLVがどのくらい体内にあるかだけでなく、ウイルスゲノムの変異によって、広がりやすさが変わる可能性があります。そこでこの研究では、変異がウイルスの増え方や感染の広がりにどう影響するかを調べました。
ある牛農場で7年間、50~68頭の牛を継続的に調査し、438個の検体を分析しました。その結果、ウイルスを増やすために重要な「LTR」という配列の175番目が変異したタイプが、時間とともに増え、最終的には農場内で主流になっていました。
さらに、ウイルスの増殖を調整する「Tax」というたんぱく質についても調べたところ、69番目と73番目のアミノ酸が変化すると、ウイルスを作る働きが変わることが分かりました。コンピューターによるたんぱく質の構造予測や細胞を使った実験でも、この変異がたんぱく質の構造を変えてウイルスの生産量に影響することが確認されました。
特に、LTR175CとTax73Qという2つの変化を持つウイルスは、牛の体内にあるウイルス量が特に高くなくても、農場内で広がりやすいことが分かりました。
この研究から、BLVの感染の広がりやすさは、単純に「体内のウイルス量」だけでなく、ウイルス自身の遺伝子の違いによって決まる可能性が示されました。今後の牛伝染性リンパ腫対策では、こうしたウイルス側の遺伝的な特徴も考える必要がありそうです。
論文タイトル:
Combinations of long terminal repeat and tax protein substitutions influence bovine leukemia virus transmission through altered viral productivity
論文掲載URL:
https://journals.asm.org/doi/10.1128/spectrum.00869-26
DOI:
https://doi.org/10.1128/spectrum.00869-26








