麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

【論文】つらいかゆみを"プラズマ"で抑える?新しい治療法を検証!

主な研究者:
獣医学部 准教授 福山 朋季

慢性的な「かゆみ」は、人だけでなく動物にとってもつらく、生活の質を大きく下げる原因になります。現在は「JAK阻害薬」などの薬でかゆみを抑えていますが、長期間使う場合には副作用などの心配があります。そこでこの研究では、薬を使わずにかゆみを抑える方法として「窒素ガス由来の低温プラズマ(N2-CAP)」に注目しました。

まず、N2-CAPで処理した水(CAP水)をマウスの皮ふに注射し、かゆみを起こすヒスタミンやセロトニンなどを使って、どのくらい引っかく行動が減るかを調べました。その結果、CAP水によってかゆみを感じて引っかく行動が大きく減少しました。また、痛みに関係する反応も抑えられました。

さらに、かゆみや痛みを伝える神経細胞を詳しく調べると、CAP水はヒスタミンやセロトニンなどに対する神経の反応を弱めていました。また、人と犬の皮ふの細胞でも、かゆみに関係する反応を変化させることが確認されました。

アレルギー性皮膚炎のマウスでは、CAP水によるかゆみ抑制効果は、犬のアトピー性皮膚炎などにも使われるJAK阻害薬「オクラシチニブ」と同程度でした。さらに、かゆみを伝える神経の活動を抑える効果は、オクラシチニブより強い場合もありました。

この研究から、N2-CAPは皮ふの細胞とかゆみを伝える神経の両方に働きかける、新しい「薬を使わない」かゆみ対策になる可能性が示されました。ただし、現段階では主にマウスや細胞を使った研究であり、人や犬などで実際の治療法として使えるかは、今後の検証が必要です。

論文タイトル:
Nitrogen gas-derived cold atmospheric plasma suppresses pruritus through modulation of peripheral sensory neurons and keratinocytes

論文掲載URL:
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0028390826003394?via%3Dihub

DOI:
https://doi.org/10.1016/j.neuropharm.2026.111164