【論文】犬は飼い主の「いつもと違う」に気づく? 気分と身体の反応から探る
主な研究者:
獣医学部 教授 永澤 美保
犬は、人の表情や声などから「うれしい」「怒っている」といった感情を読み取れることが知られています。しかし、人が感情を表情や行動にはっきり出していなくても、犬は気持ちの変化を感じ取れるのかは、まだよく分かっていませんでした。
そこでこの研究では、飼い主に「ストレスがかかった状態」と「リラックスした状態」を経験してもらい、その経験のあとに採取した刺激(顔の映像、声、におい)を犬に同時に示しました。そして、犬がどのような反応を示すのか、行動と心拍の変化を調べました。
その結果、飼い主にストレスをかけた条件では、飼い主自身が感じている気分状態と、心拍のゆらぎから捉えた身体の反応が一致しないときに、犬が飼い主の刺激により長く注目することがわかりました。また、犬の心拍そのものにははっきりした違いはありませんでしたが、ストレスを経験したあとの飼い主の刺激を提示したとき、飼い主と犬の心拍の変化が似てくる傾向が見られました。
これらの結果は、犬が単に飼い主のストレスを感じ取っているのではなく、飼い主の気分と身体の反応が一致しないような、普段とは異なる状態を察知している可能性を示しています。ただし、犬が実際に何を手がかりとして反応しているのかは、まだ明らかではありません。犬が身近な人の微妙な変化をどのように捉えているのか、さらに研究する必要があります。
論文タイトル:
Dogs display context-dependent behavioral responses to subtle owner-derived multimodal stimuli
論文掲載URL:
https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1916007/full
DOI:
https://doi.org/10.3389/fvets.2026.1916007








