
2025.06.11NEW獣医学部
主な研究者:
獣医学部 准教授 福山 朋季
この研究では、「デオキシニバレノール(DON)」というかびが作る有害な物質が、皮膚の病気である「乾癬(かんせん)」の症状を悪化させるかどうかをマウスを使って調べました。乾癬は免疫の異常によって起こる皮膚の炎症性疾患で、人間にも見られる病気です。
研究チームは、まずマウスに乾癬の症状を人工的に起こさせ、そのマウスにエサを通じて少量のDONを14日間与えました。その結果、DONを摂取したマウスでは皮膚が厚くなったり、かゆみ行動が増えたり、水分が皮膚から逃げやすくなるなど、症状が明らかに悪化しました。
また、皮膚の中では炎症に関わる免疫細胞やたんぱく質(特にIL-17やTNF-αといった物質)が増えており、免疫の働きが強く反応しすぎていることがわかりました。これはDONが体の中で免疫を過剰に刺激することによって、乾癬のような病気を悪化させる可能性があることを示しています。
この研究は、食品に含まれるカビ毒が、アレルギーや免疫に関係する病気に悪影響を与えるおそれがあることを示す重要な成果です。
論文タイトル:
Short-Term Oral Administration of 1.5 μg/kg bw/day of Deoxynivalenol Significantly Exacerbates Inflammatory and Itching Symptoms in a Mouse Model of Imiquimod-Induced Psoriasis
論文掲載URL:
https://www.mdpi.com/2072-6651/17/2/47
DOI:
https://doi.org/10.3390/toxins17020047