麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

加水分解卵殻膜および加水分解卵白が加熱調理ソーセージの発色に与える影響

主な研究者:
獣医学部 准教授 竹田 志郎

この研究では、卵の加工で排出される卵殻膜や卵白から作られた「加水分解卵殻膜(HESM)」と「加水分解卵白(HEW)」がハムやソーセージなどの塩漬した食肉製品の肉色、特に赤み(色合い)にどのような影響を与えるかを調べました。肉色は食肉製品の見た目や品質において、大切な要素です。

研究の結果、HESMを使ったソーセージでは、HEWや通常の卵白(EW)、何も加えない場合と比べて、明らかに赤みが強くなることがわかりました(発色と言います)。HEWもある程度は発色が促進されましたが、HESMほどの効果はありませんでした。

さらに、HESMをアルコールで抽出した成分は、鉄イオンを還元する力が強く、酸化還元電位を下げる働きもありました。この抽出物は、塩漬した食肉製品の赤色のもとである「ニトロシルミオグロビン」の形成も向上させました。しかしその効果は「チオール基」という成分を失わせたHESMでは弱まったため、HESMに含まれるチオール基が塩漬した食肉の発色に重要だと考えられます。

つまり、HESMが持つ還元作用が食肉製品の発色に役立ち、肉色の安定化などの食肉製品の品質向上に活用できる可能性があります。

論文タイトル:
Effects of hydrolyzed eggshell membrane and hydrolyzed egg white on the coloration of cured cooked sausages

論文掲載URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fstr/31/2/31_FSTR-D-24-00191/_article/-char/ja

DOI:
https://doi.org/10.3136/fstr.FSTR-D-24-00191