
2025.06.13NEW獣医学部
主な研究者:
獣医学部 准教授 青木 卓磨
この研究では、脳の腫れ(脳浮腫)の治療によく使われる「マンニトール」という薬が、心臓に問題を抱える犬にどんな影響を与えるかを調べました。特に、心臓の弁がうまく閉じない「僧帽弁閉鎖不全症(MR)」の犬に対して、マンニトールが悪影響を与える可能性があるかを検討しました。
実験では、MRを人工的に起こした犬にマンニトールを少量(0.5 g/kg)、中量(1 g/kg)、大量(2 g/kg)投与し、左心房の圧力(mLAP)と心拍数の変化を12時間にわたって計測しました。
その結果、少量・中量の投与ではmLAPに大きな変化は見られなかったものの、大量投与ではすぐにmLAPが大きく上昇し(統計的に有意)、1時間ほどで元に戻ることがわかりました。
この結果から、マンニトールは少量・中量では比較的安全ですが、大量に投与すると心臓への負担が一時的に大きくなる可能性があることが明らかになりました。特に心臓の病気が進行している犬には注意が必要です。この研究は、臨床でマンニトールを使う際の重要な参考になります。
論文タイトル:
Impact of Mannitol on Left Atrial Pressure in Dogs With Mitral Regurgitation
論文掲載URL:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/vms3.70274
DOI:
https://doi.org/10.1002/vms3.70274