
ヤケヒョウヒダニ抽出物への帯電微粒子水の直接処理は、マウスにおけるヤケヒョウヒダニ由来 Der p 誘発性アレルギー性喘息を有意に抑制する
主な研究者:
獣医学部 准教授 福山 朋季
この研究では、多くの人のぜんそくの原因となる「ヤケヒョウヒダニ」のアレルゲン性(アレルギーを引き起こす性質)を、安全に弱める新しい方法として、「帯電微粒子水(EWNS)」の効果を調べました。特に、ヤケヒョウヒダニの主要なアレルゲン「Der p 1」に焦点を当てています。
まず、Der p抽出物をEWNSで1時間または24時間処理したところ、Der p 1の量が減少しました。続いて、処理後のDer p 1がマウス由来の免疫細胞(樹状細胞)に与える影響を試験したところ、細胞内カルシウムの流入や、炎症性物質(サイトカイン)の産生など、アレルギーに関わる反応が抑えられていることがわかりました。
さらに、マウスにEWNS処理済みのDer p 1を使ってぜんそくモデルを作成したところ、通常のDer p 1を使った場合と比べて、酸素の取り込み能力の改善や炎症反応の軽減が見られました。
つまり、EWNSを使ってダニアレルゲンを処理することで、アレルギー反応を大きく抑えることが可能になり、将来的にはぜんそくの予防や治療に役立つ方法となる可能性があることが示されました。これは、アレルゲンの性質そのものを変えるという、新しいアプローチです。
論文タイトル:
Direct exposure of Dermatophagoides pteronyssinus extracts to engineered water nanostructures significantly prevent Der p-induced allergic asthma in mice
論文掲載URL:
https://www.authorea.com/doi/full/10.22541/au.174291888.80849645
DOI:
10.22541/au.174291888.80849645/v1