麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

思春期の若者における伴侶動物への態度と愛着に関する研究:文化的疎外感が幸福感に与える悪影響の緩和

主な研究者:
獣医学部 教授 永澤 美保
獣医学部 特任助教 子安 ひかり

この研究は、思春期の若者の心の健康において「ペットとの関わり」がどのように関わっているのかを探ったものです。これまでの研究では、ペットを飼っていることで若者のウェルビーイング(心の健康状態)が高くなり、「文化的疎外感(自分が周囲と違うと感じること)」が少し和らぐことが示されましたが、その効果は小さく、結果も一貫していませんでした。

そこで本研究では、ただ「ペットを飼っているかどうか」ではなく、「動物観」や「ペットへの愛着」に注目し、特に文化的疎外感が強い若者に焦点を当てて調査しました。その結果、文化的疎外感が強くてもウェルビーイングが高い若者は、自然や生態への関心が高く、人道主義的な考え方を持ちながら、ペットに深い愛着を持ち、「心の支え」として接していることがわかりました。

このことからペットは、単なる癒しだけでなく、自分を理解してくれる存在として機能し、思春期の若者の心の健康を支える大切な役割を果たしていることが示されました。特に、社会や文化とのずれを感じやすい若者にとって、ペットは孤独を癒やし、自分を受け入れる手助けをしてくれる存在となっているのです。

論文タイトル:
Study on adolescents' attitudes and attachment toward companion animals: mitigating the negative effects of cultural estrangement on wellbeing

論文掲載URL:
https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2025.1552127/full

DOI:
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2025.1552127