麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

生前に診断されたネコの片側性肺静脈狭窄症の一例

主な研究者:
獣医学部 准教授 青木 卓磨

この報告では、2歳のノルウェージャンフォレストキャットが肺高血圧症(PH)と呼ばれる肺の血圧が高くなる病気になった原因として、肺静脈狭窄症(PVS)という非常に珍しい病気が診断されたケースについて紹介しています。通常この病気は、亡くなった後にしか見つからないことが多いですが、この猫では生きている間に検査で発見されました。

初め、猫は呼吸困難を起こし、利尿剤の投与で一時的に改善しました。退院後は、PHを抑えるための薬(シルデナフィル)だけで治療を続けましたが、再び倒れることがありました。その後、薬の量を少しずつ増やすと症状は落ち着きました。しかし、血流が増えたことで逆に肺に負担がかかる心配もありました。血栓(血のかたまり)を防ぐため、別の薬も使われました。

CTを使用した精密検査では、肺の血管が狭くなっていること、肺動脈が広がっていること、肺に広い範囲ですりガラスのような影があることが確認されました。治療を続けましたが、猫は急な呼吸困難で亡くなりました。

このケースから、若い猫でも肺の一部に異常な影が見られたらPVSを疑うべきであり、シルデナフィルの使用は慎重に行う必要があるとわかりました。

論文タイトル:
Ante-mortem diagnosis of unilateral pulmonary vein stenosis in a cat: a case report

論文掲載URL:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12020107/

DOI:
10.1186/s13028-025-00803-y