Lactobacillus paracasei、Pichia membranifaciensおよびSaccharomyces cerevisiaeの混合微生物培養液の外用投与は、樹状細胞によるIL-10の過剰発現を介してマウスのアトピー性皮膚炎の発症を有意に抑制する
主な研究者:
獣医学部 准教授 福山 朋季
この研究では、乳酸菌(Lactobacillus paracasei)と酵母(Pichia membranifaciens、Saccharomyces cerevisiae)を組み合わせた新しい「プロバイオティクス(善玉菌)混合培養液:LS」が、アトピー性皮膚炎(AD)に対してどのような効果を持つかを調べました。特に、皮膚に直接塗る「外用治療」としての予防・治療効果に注目しています。 まず、マウス由来の免疫細胞(樹状細胞)を使って、LSが免疫反応に与える影響を調べたところ、炎症を抑えるIL-10と免疫を活性化するTNFαの分泌が増加しました。また、人の皮膚細胞を使った実験では、炎症を引き起こす物質(IL-8やTARC)の量が減少し、LSが抗炎症作用を持つことが示されました。 さらに、ダニの成分でアトピー性皮膚炎を発症させたマウスにLSを塗る実験を行ったところ、治療として使った場合は皮膚の見た目や厚さの変化は大きくありませんでしたが、アレルギーに関係するIgE抗体やIL-4が減少しました。また、予防的に使った場合には、ADの症状そのものが軽くなる効果が見られました。 この結果から、LSは免疫のバランスを整え、炎症を抑えることでアトピー性皮膚炎の発症を防ぐ可能性があると考えられます。
論文タイトル:
Topical Administration of a Mixed Microbial Culture of Lactobacillus paracasei, Pichia membranifaciens and Saccharomyces cerevisiae Significantly Inhibits the Development of Atopic Dermatitis in a Mouse Model Through IL-10 Overexpression by Dendritic Cells
論文掲載URL:
https://www.mdpi.com/2227-9059/13/10/2536
DOI:
https://doi.org/10.3390/biomedicines13102536








