麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

ポルフィロモナス・グラエ感染性歯周疾患を有する犬において、明日葉抽出物の殺菌および抗炎症作用が歯肉炎と口臭を改善する

主な研究者:
獣医学部 准教授 福山 朋季

この研究では、日本原産の多年草で健康食品として知られる明日葉(アシタバ:Angelica keiskei)の抽出物が、犬の歯周病に対してどのような効果を持つかを調べました。犬の歯周病は、主にPorphyromonas gulae(P. gulae)という細菌が原因で、口臭や歯ぐきの炎症を引き起こします。 試験管内の実験では、アシタバ抽出物(0.006〜0.1%)がこの細菌の生存率を最大80%減らし、さらにバイオフィルム(細菌のかたまり)形成を約10%抑制しました。また、口臭の原因となる硫黄ガス(硫化水素やメチルメルカプタン)の発生を、それぞれ80%以上、40%以上抑える効果も見られました。さらに、細菌が引き起こす炎症性物質(IL-1β、IL-6、TNF-α)の分泌を、犬・マウス・ヒトの細胞で最大90%抑えることも確認されました。 実際の犬での試験では、0.05%のアシタバジェルを毎日4週間口に塗布したところ、歯みがきの有無に関わらず、歯ぐきの炎症が40〜60%改善し、口臭が減少、さらに細菌のDNA量や酵素活性も減少しました。 これらの結果から、アシタバ抽出物は強い抗菌作用・消臭作用・抗炎症作用を持ち、犬の歯周病を予防・改善する天然の補助療法として有望であることが示されました。

論文タイトル:
Bactericidal and Anti-Inflammatory Effects of Ashitaba-Extract Ameliorate the Gingivitis and Halitosis in Dogs with Porphyromonas gulae-Infected Periodontal Disease

論文掲載URL:
https://www.mdpi.com/2306-7381/12/10/981

DOI:
https://doi.org/10.3390/vetsci12100981