ELISAのS/P比を用いた牛伝染性リンパ腫ウイルス感染リスク評価のための簡易モデルの開発
主な研究者:
獣医学部 准教授村上 裕信
この研究は、地方病型牛伝染性リンパ腫を引き起こす牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)の感染リスクを、より安く簡単に評価する方法を開発したものです。BLVに感染すると、乳量の減少、抗病性の低下、国際取引の制限など大きな損失が生じます。感染力の強さは、本来 qPCR という高価な検査でプロウイルス量(PVL)を測ることで判断しますが、コストが高く大規模農場では使いにくいという問題がありました。
そこで研究チームは、一般的に使われる血液検査(ELISA)で得られるS/P比という数値を使い、BLVの広がりやすさを簡易的に推定できないかを調べました。日本の黒毛和種とホルスタインの合計496頭の血液を調べた結果、S/P比が高いほどPVLも高いという関連があることが分かりました。
解析の結果、S/P比が1.87未満なら、PVLが非常に低く感染をほとんど広げない"超低リスク牛"と分類できることが明らかになり、この基準は感度93%・特異度78%という高い精度を示しました。実際、この方法で超低リスクに分類された牛の94%以上が正しく判定されました。
このS/P比を使った方法は、qPCRほど正確ではないものの、安価で多頭飼育にも向く実用的な指標であり、BLVの早期発見や高リスク牛の管理に大きく役立つと期待されます。
論文タイトル:
Development of a simplified model for assessing bovine leukemia virus transmission risk using enzyme-linked immunosorbent assay sample/positive ratios
論文掲載URL:
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0034528825004461?via%3Dihub
DOI:
https://doi.org/10.1016/j.rvsc.2025.105972








