アルビノ雄ラット(白いネズミ)にも模様があった!?
主な研究者:
獣医学部 教授 坂上 元栄
私達が見ている哺乳類の模様は,パンダに見られるような黒い部分は黒い毛,白い部分は白い毛,というように様々な色の毛が集まることで生じます。一般的に使用される実験動物であるアルビノラットは,色の元となる色素を作る酵素が遺伝的に欠損しているため,色素をつくることができずに全身が白色となります。では,遺伝子が欠損する前のアルビノラットは,元々はどのような模様を持っていたのでしょうか?遺伝子解析で一定の模様を持つラットがアルビノラットになったことが推測されてはいましたが,実際にどのようになっているのかが不明でした。この研究ではその模様がどのようになっているのかを色素であるメラニンを作る細胞(メラニン産生細胞)の分布をみることで明らかにした論文となります。
まず,皮膚の遺伝子発現を調べるRT-qPCRという方法で,メラノサイトの目印となるDct(ドーパクロムトートメラーゼ)とチロシナーゼという遺伝子のmRNAが,SD・ウィスター・F344という3種類のアルビノラットで検出されました。さらに,その発現量は皮膚の場所によって違うことが分かりました。
次に,抗Dct抗体を用いた染色(免疫組織化学)で細胞の局在を観察したところ,アルビノラットでも毛の根元部分(毛母)にメラノサイトが存在しており,特に頭部・背中の胸部・背中の中央線上に多く分布していました。この分布パターンは,有色の「フードラット」という系統のラットの毛色パターンと似ていることも確認されました。
この結果から,アルビノラットでもメラニン産生細胞自体は皮膚の場所によって異なる数・密度で存在していることが明らかとなり,元々はフードをかぶったような模様を示す系統のラットと同じような模様を示していたことが証明されました。このことは,研究分野において皮膚の遺伝子発現を研究する際には,皮膚の部位差を考慮して結果を評価する必要があることが示されました。
論文タイトル:
Regional differences in the distribution of melanocyte-containing hair bulbs in the skin of male albino rats
論文掲載URL:
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0336110
DOI:
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0336110








