麻布大学

研究・産学官連携COOPERATION

【論文】巣の中には誰が?クリハラリスが作る"虫のホテル"

主な研究者:
生命・環境科学部 准教授 片平 浩孝

野生動物の巣は、作った動物自身が利用するだけでなく、さまざまな昆虫などの小さな生き物が暮らす場所としても機能しています。この研究は、都市部に見られる外来哺乳類のクリハラリスの巣が、どんな生き物のすみかになっているのかを調べたものです。

神奈川県ではクリハラリスの分布拡大が続いており、住宅街の緑地にも営巣が見られています。研究室の学生さんたちが力を合わせて県内の緑地から9個の巣を集め、巣の材料や中にいる生き物をひとつひとつ丁寧に精査していきました。

分析の結果、巣は1〜3層で構成され、スギや国内外来種であるシュロの繊維が内側に、中層はイヌザクラやアラカシの葉が、外側にはスダジイなどの枝や葉が使われていることがわかりました。また、巣の中からは14目にまたがる無脊椎動物が計1467匹も見つかりました。

特に多かった分類群はハエやトビムシ、ダニ、チャタテムシでした。その中には、食品に混入したり、病気の原因となる細菌を運んだりする都市害虫も含まれていました。さらに、国内外来種のガの幼虫も確認され、巣が新たな侵入生物の隠れ場所となっている可能性が考えられました。

この研究は、外来種の問題はその本体だけにとどまらないことを示しています。外来種対策では、対象種の数を減らすことに注目が集まりがちではありますが、巣などの残置物の役割にも目を向け、場合によっては積極的に撤去していく必要があるようです。

論文タイトル:
Organisms associated with nests of the invasive squirrel Callosciurus erythraeus (Pallas, 1779): an overlooked arboreal habitat for urban pests

論文掲載URL:
https://www.reabic.net/journals/bir/2026/2/BIR_2026_Eguchi_etal.pdf

DOI:
https://doi.org/10.3391/bir.2026.15.2.09